人類は、“ダイエットに失敗する”ようにできている:世界を「数字」で回してみよう(15) ダイエット(5/9 ページ)
今回から新シリーズとしてダイエットを取り上げます。ダイエット――。飽食の時代にあって、それは永遠の課題といっても過言ではないテーマになっています。さて、このダイエットにまつわる「数字」を読み解いていくと、実に面白い傾向と、ある1つの仮説が見えてきます。
ダイエットフィーバーを、フーリエ変換で知る
さて、ダイエットに成功した人は、(理屈としては)ダイエットへの興味はなくなり、ダイエットという言葉は使われなくなるはずです。
以下は、「ダイエット」という言葉を含む、過去10年間のニュース見出し(ニュースヘッドライン)の登場数の変化を示したものです。
全然、減っていませんね。というか、最近は全体として増加傾向にあります。
なんでもかんでも「リーマンショック(2008年9月15日)」と結び付ければ良いというものでもありませんが、やっぱり、「ダイエット」は経済的なゆとりを前提とするものなのかもしれません。
それに、どう見ても、一定の周期変動があることが見て取れます。試しにピークの発生時点を調べてみたら、これが「ゴールデンウィーク(GW)の直後〜2週間以内」に集中しているのです。
つまり、
(1)ニュースの見出しの登場数には、1年の周期があること
(2)GW後にダイエットのニュースが最高数に達すること
が認められるのです。
GW後とは、もう寒(かん)の戻りを心配しなくてもよい暖かい日々が続く反面、徐々に薄着になって露出が増え、かつ、夏休みの開始、プールや海水浴が始める季節まで残り2カ月となる、実に重要な意味を持つ時期なのです。つまり、冬の間は隠し通せていた己の脂肪やぜい肉を、再び人目にさらさなくてはいけなくなる――。そんな時期に当たるわけです。
2カ月間 ―― それは、4〜5kgの減量が、まだ「夢」とは言い切れないファイナルデッドライン
この時期に、多くの人が「ダイエット」に関心を持つのは、極めて自然なことです。
また、国内または海外で、ぜいたくかつロマンチックにプールや海水浴を楽しもうとしているのであれば、「そのようなイベントの企画が、個人の経済状態に左右される」ということは、非常に説得力のある仮説と言えます。
さらに、私は、このニュースヘッドライン(見出し)の登場数を、エクセルを使って、周期解析(高速フーリエ変換[FFT]を使用)を行いました(フーリエ変換については付録を参照)。
この結果、12カ月、4カ月、2カ月という3つの周期が確認できました。12月(1年)周期が強く出てくるのは当然であるとしても、「4カ月周期」と「2カ月周期」に強い傾向が確認されるのは、不可解です。
まず、「4カ月周期」がある以上、「GW後」を基準として4カ月おきに何かが起きているはずです。
以下の図は2013年のGW後から2014年のGW後までのニュース見出し数をグラフにしたものです。
GW後の4カ月後になる8月には特に何も観測できませんでした。
しかし、さらに4カ月後の正月休み後に、強いピークが発生しています。どうやら、これが「4カ月周期」を強く発生させている原因と考えられます。これが、「正月太り」対策であることは、検証するまでもないでしょう。
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