人類は、“ダイエットに失敗する”ようにできている:世界を「数字」で回してみよう(15) ダイエット(6/9 ページ)
今回から新シリーズとしてダイエットを取り上げます。ダイエット――。飽食の時代にあって、それは永遠の課題といっても過言ではないテーマになっています。さて、このダイエットにまつわる「数字」を読み解いていくと、実に面白い傾向と、ある1つの仮説が見えてきます。
見えてきた、ある“仮説”
つまり、わが国においては、「ダイエットフィーバー」とも呼べる時期が、GW後と正月休み後の少なくとも2回、発生していることが分かります。
分からないのは「2カ月周期」です。なぜ、2カ月のタイミングで、ニュースの見出し数は増減を繰り返しているのか。ニュースは、意識的であれ無意識的であれ、読者に読ませるために、もっとも効果的なタイミングで投入されるはずです。
その、最も効果的なタイミングの周期が2カ月であるということは、どういうことか。
私はここに、本連載を通して検証する予定の、1つの大きな仮説を提示したいと思います。
「私たちは、1つのダイエットを、2カ月以上連続して続けることができない」
つまり、私たちのダイエットは成功するにしろ、失敗するにしろ(恐らく、大部分が失敗する)、2カ月以上は続かない、ということです。
この「ダイエットライフサイクル、2カ月説」は、今回の連載だけでも裏が取れます。
- GW明けから、最初の水着になる日までの期間が、ちょうど2カ月であること
- 正月明けから、卒業式、始業式、入学式までの華やかなイベントまでが、ちょうど2カ月であること
などのような、時系列的な事情の他にも、
- 2カ月以上の期間を想定した、『ダイエット』本が、ほとんど存在していないこと(調べた範囲内で、最長は3カ月)
- 2カ月というのは、ダイエットを続けてそれが成功すれば、概ね目標(体重)に達する期間であること
などの物理的な事情などからも検証できるのはないかと思っています。
しかし、最も重要な理由は、「ダイエットに失敗することを運命付けられている私たち自身」にあるのではないか ―― と考えています。
本連載では、今後数回にわたって、冒頭で示した「私たち人類は、ダイエットに失敗しなければならない」という仮説を軸に、いろいろな数字を回してみようと思っております。
では、今回の内容をまとめます。
- Diet(ダイエット)という言葉は、世界中で、「体重を減らすこと」「美しい体型になること」と同義として使われている
- 専門家によるダイエット指導は、「受けた方がいい」
- 日本人の「ダイエット」への欲望は、「性欲、食欲、名誉欲」に匹敵または凌駕している可能性がある
- いわゆる「『ダイエット』本」の題目は、「ダイエットしたければ、体を動かし、カロリーを控えろ」のバリエーションにすぎない
- わが国においては、「ダイエットフィーバー」とも呼べる時期が、少なくともGW後と正月休み後の2回発生している
次回は、「私たち人類は、ダイエットに失敗しなければならない」という仮説の一つ検証アプローチとして「一つのダイエットを、2カ月以上連続して続けることができない」を、数字で示せるか試してみたいと思います。
また、「ダイエット(に成功した状態)は美しい」という概念の発生を、歴史的または地域的な差異から調査し、また、人類がそのような概念に至った理由についても迫ってみたいと思います。
では、来月、またお会いしましょう。
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