“次世代メモリ”の域を出ないFRAM、量産規模を上げて低価格化を:ビジネスニュース 業界動向(2/2 ページ)
SRAMやDRAM、EEPROMを置き換えるとして大いに期待されていたFRAMは、量産こそ始っているものの、完全に普及しているとはいえず、いまだに“次世代メモリ”の域を出ない。だが、一定のニーズはある。
鶏が先か、卵が先か
だが、FRAMのニーズもある。Research and Marketsがちょうど1年前に発表したリポートによれば、FRAMの世界市場は2013年から2018年にかけて、年平均成長率(CAGR)16.4%で成長するという。市場成長の主な要因の1つとして、FRAMの低消費電力が挙げられる。Cypressに買収されたRamtronの他、Texas Instruments(TI)や富士通も、ハードウェアとソフトウェア両面で研究開発の規模を拡大していた。リポートによると、これらのメーカーが研究開発費を増加した結果、FRAMの性能と効率が高まり、FRAMの用途分野も増えたという。
富士通セミコンダクターは2014年末に、FRAM「MB85RDP16LX」を発表した。2048ワード×8ビットのビット構成で、43ビットまたは46ビット相当のバイナリカウンタを搭載している。エナジーハーベスティングやロータリーエンコーダなどをターゲットとする。
Cypressは2015年4月に、4MビットのシリアルFRAMを発表している。用途は、産業制御・オートメーション、多機能プリンタ、計測・テスト装置、医療用ウェアラブル機器など、「安全性が不可欠で、高速の読み書きが連続的に要求される分野」(Cypress 不揮発製品部門バイスプレジデントのRainer Hoehler氏)としている。
Handy氏は、「FRAMは、他の次世代メモリと同様、“鶏が先か、卵が先か”という問題に直面している」と述べる。量産によってコストを下げるには、より大量生産が必要になる用途が欠かせない。だが採用を増やすには、より低価格のFRAMが必要だ。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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