“次世代メモリ”の域を出ないFRAM、量産規模を上げて低価格化を:ビジネスニュース 業界動向(1/2 ページ)
SRAMやDRAM、EEPROMを置き換えるとして大いに期待されていたFRAMは、量産こそ始っているものの、完全に普及しているとはいえず、いまだに“次世代メモリ”の域を出ない。だが、一定のニーズはある。
ある市場調査会社の古い予測によると、FRAM、あるいはFeRAM(強誘電体メモリ)は遅くとも1990年代半ばには市場を支配すると見られていた。だが、いまだに、期待されていたような成長を遂げられていない次世代メモリ技術の1つとなっている*)。
*)関連記事:次世代メモリ市場、2020年には70億米ドル規模に
FRAMはDRAMのようにワークメモリとしても使えて、SRAMやフラッシュメモリのように高速で読み書きができる。1980年代にFRAMが初めて製品化されたとき、その万能さから、DRAMやSRAM、EEPROMなどからFRAMへの置き換えが進むと考えられた。
半導体アナリストのJim Handy氏は、Cypress SemiconductorがRamtronを買収した直後、EE Timesに対して「当時考えられていた通りにはならなかった。FRAMは結局、既存のメモリよりもコストが高くつく技術となってしまった」と語っている。
コストが課題に
1980年代後半以降、FRAMの開発者らは、強誘電体の物理特性の理解が限られていたため、あらゆる課題に直面した。課題の多くは、MRAM(磁気抵抗変化型メモリ)やPRAM(相変化メモリ)、ReRAM(抵抗変化型メモリ)といった次世代メモリが現在抱える問題と似ていた。だが、困難な道にもかかわらず、FRAMは量産が始まり、採用実績もある。
Handy氏は、EE Timesに対して、「以前誰かが、『FRAMは、まだ次世代の技術だ。しばらくの間は期待されていたが、主要なメモリ技術としてはまったく浸透していない』と話していた」と述べている。
あらゆるメモリ技術と同様、コストがFRAMの採用を妨げている。FRAMの性能はシリコン基板上に形成したペロブスカイト結晶の層に依存している。ペロブスカイト結晶はシリコントランジスタと不整合を起こす場合があるので、ペロブスカイト結晶とシリコン基板を絶縁するためにバリア層が用いられる。Handy氏は、これによってウエハー処理のコストがかさみ、結果的にFRAMのコストが上がることになると説明する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.