COT制御ながら6MHzの高速スイッチングを実現した高速過渡応答DC-DCコンバータ:電源設計(1/2 ページ)
トレックス・セミコンダクターは独自の高速過渡応答制御「HISAT-COT」を搭載した降圧同期整流DC-DCコンバータとして、発振周波数6MHzと高速で、薄さ0.3mmの小型/低背パッケージを採用した「XC9259シリーズ」の量産を開始した。
COT制御の欠点を補った「HISAT-COT」
スイッチング方式のDC-DCコンバータに要求されるニーズとして、低消費電力/高効率化とともに高速応答性がある。プロセッサやマイコンといったデバイスは、電力消費を極力抑えるため、消費する電力をリアルタイムに変動させる。そうした負荷変動に対し、出力電圧を一定に保ちながら、負荷が求める出力電流値に変更する高速な応答性が求められている。
高速応答を実現するスイッチング制御方式として、Constant On Time(コンスタントオンタイム/以下、COT)制御方式がある。COTは、コンパレータを使って、出力電圧を監視し、出力電圧が一定のしきい値を下回った場合にスイッチング素子をオンさせる。いわば、負荷変動や入力電圧の変動に応じて、スイッチング素子をオンしているため、応答性に優れた方式といえる。逆に、PWM(パルス幅変調)制御方式などに多く用いられる固定周波数制御方式では、一定の周波数間隔でスイッチング素子をオンさせ、オン時間を変えることで出力を調整する。そのため、一定の周波数間隔の間で負荷変動が起こっても、即時にオンすることができない。また低負荷時では、オン時間を短縮しきれないために、オンするタイミングを間引いて、出力を調整する制御を行うため、一段と応答速度が遅くなる。
固定周波数方式に比べ、応答性に優れるCOTだが、一方で短所も多い。スイッチング周波数が変動するため、ノイズ対策が難しい。コンパレータの動作速度を高めることが難しく、高周波動作ができない。そして、リップルが大きくESRの大きなコンデンサで対策が必要になる。
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