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60GHz帯+LTEで大容量コンテンツを高速ダウンロード、CCNプロトコルを採用WTP2015 / ワイヤレスジャパン2015

KDDI研究所は、「ワイヤレス・テクノロジー・パーク2015(WTP2015)」(2015年5月27〜29日、東京ビッグサイト)で、60GHz帯通信とLTEを組み合わせ、4K動画などの大容量コンテンツを短時間でダウンロードできる通信技術を展示した。コンテンツはあらかじめ60GHz帯の基地局にダウンロードされている。この通信技術には、TCP/IPではなく、CCN(Content Centric Networking)がプロトコルとして採用されている点も特徴だ。

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 KDDI研究所は、「ワイヤレス・テクノロジー・パーク2015(WTP2015)」(2015年5月27〜29日、東京ビッグサイト)で、60GHz帯通信とLTEを組み合わせた通信方式のデモを行った。60GHz帯通信とLTE通信をシームレスに切り替えることで、4K動画など大容量のコンテンツを瞬時にダウンロードできることを目指して開発した技術である。

 60GHzなど、いわゆるミリ波帯の電波は、1Gビット/秒の高速通信が可能になる一方で、電波が遠くまで届きにくいという難点がある。このため、広いエリアをカバーできず、移動通信サービスには不向きとされてきた。

 今回、KDDI研究所は、60GHz帯通信とLTEを、ユーザーの位置を基に協調させる通信方式を開発した。LTEエリア内に、60GHz帯通信を利用するエリアを“スポット”のように形成する(以下、60GHz帯エリア)イメージだ。

 新方式では、LTEエリア内を移動しているユーザーの位置情報を見ながら、そのユーザーが通過しそうな60GHz帯エリアの基地局に、あらかじめコンテンツを“先回り”させてダウンロードしておく。ユーザーが60GHz帯エリアに入った瞬間に、通信がLTEから切り替わり、ユーザーは短時間でコンテンツをダウンロードできる。サーバからダウンロードするわけではないので、サーバ・基地局間の回線速度を気にする必要もない。

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60GHz帯通信とLTEを協調させる通信方式の概念(クリックで拡大)

 この方式では、通信プロトコルとして、TCP/IPではなくCCN(Content Centric Networking)が採用されている。CCNは、IP(Internet Protocol)に変わる新しいプトロコルとして、欧米で積極的に研究開発が進められている。IPのように端末間を接続することよりも、その名の通りコンテンツの配信を目的としてネットワークを構築するというものだ。日本では、CCNに関する動きは欧米に比べるとやや遅い。米国ではCCNのコンソーシアムが数年前に既に発足しているが、日本では、2014年12月に早稲田大学などが「ICN(Information Centric Networking:CCNと同義)コンソーシアム」を立ち上げたばかりである。

 デモでは、開発した通信方式をAndroid端末に実装し、Wi-Fiエリアと60GHz帯エリアでシームレスに通信が切り替わる様子を見せていた。

photophoto 左=新通信方式を実装したAndroid端末のプロトタイプ。右=Wi-Fi通信から60GHz帯通信に切り替わった様子。上の緑の棒グラフがWi-Fiで、下のピンクの棒グラフが60GHz帯の通信を表している。KDDI研究所のブース内にはWi-Fiエリアと60GHz帯エリアが形成されていて、プロトタイプを持ってこれらのエリアを移動すると、Wi-Fi通信から60GHz帯通信に切り替わっていた(クリックで拡大)

 KDDI研究所の発表によれば、プロトタイプを使った検証では、動画のダウンロード時間が、LTEだけの場合に比べて5分の1に短縮できたという。また、LTEのトラフィックの最大約90%を、60GHz帯にオフロードできたとしている。

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