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EtherCAT通信の仕組みを知ろう〜メイドは超一流のスナイパー!?江端さんのDIY奮闘記 EtherCATでホームセキュリティシステムを作る(2)(5/8 ページ)

今回は、EtherCATの仕組みを信号レベルでご説明します。「ご主人様(EtherCATマスタ)」と「メイド(EtherCATスレーブ)たち」が、何をどのようにやり取りをしているのかを見てみると、「メイドたち」が某有名マンガのスナイパーも腰を抜かすほどの“射撃技術”を持っていることが分かります。後半では、SOEM(Simple Open EtherCAT Master)を使ったEtherCATマスタの作り方と、簡単なEtherCATの動作チェックの方法を紹介しましょう。

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メイドの素性を徹底的に調べるご主人様

 前述のケースでは、マスタは、A出力、B出力、C出力、A入力、B入力、C出力の順にデータが並べているようです。このように、必ずしも、データがスレーブ単位でまとまっているわけではありません。

 イーサネットフレームのどこに何のデータを割り当てるかは、マスタ側の裁量(マスタの実装)であり、原則としてオペレータやアプリケーションからはコントロールできません。

 ところで、ご主人様(マスタ)は、EtherCATがPDO通信を始める前に、自分の配下にあるメイド(スレーブ)達の素性を全部調べ上げます。

 名前(製品名)、出身地(製造メーカー)、得意分野(モータ、計測)、今、誰と手をつないでいるか(デイジーチェーンの対向スレーブ)を、完全に調べあげた上で、各スレーブに設定情報(イーサネットフレームの何番目を使え、など)を命じることで、処理を始められるようになります。

 このように、PDO通信の前に、マスタが、スレーブの設定のために行う通信を、サービスデータオブジェクト(Service Data Object:SDO)通信というのですが ―― これが、気が遠くなりそうなほど面倒くさいのです。

 しかし、SDO通信を突破すれば、EtherCATを『分かったような気になれます』。

 次回は、たくさんのメイドたち全員が力を合わせて、制御システム全体を単一メモリI/O空間と見たてて制御システムを稼働させる、EtherCATの粋なパラダイムをご紹介したいと思います。

SOEMでEtherCATを作ってみる

 では、ここからは、先月お約束したSOEM(Simple Open EtherCAT Master)を使ったEtherCATマスタの作り方(暫定版)と、一番簡単なEtherCATの動作チェックを始めたいと思います。

(1)準備していただくもの

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PC
EtherCATマスタ(ご主人様)として使うため

  • ノートPCでもO.K.
  • 現在、仕事で使っているPCを使えます(江端はそうしています)
  • 本連載では、「Windows7」 OSを前提とします
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イーサネット通信カード(NIC)
Eマスタとスレーブの間で、EtherCAT通信を行うため

  • インターネット用とは別に、EtherCAT専用のネットワークを作ります
  • NICをPCIスロットに装着しても良いですし、面倒ならUSB-イーサネット変換アダプタでも大丈夫です
  • 私はAmazonで格安購入した「Cable Matters USB 2.0」または、「LUA2-U2-ATX - バッファロー」を使っていますが、両方とも安定して稼働中です

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イーサネットケーブル
マスタとスレーブをつなぐため

  • 100均のもので大丈夫だと思いますが、心配ならカテゴリー5e以上であることを確認してください
  • クロス/ストレートどちらのケーブルでも大丈夫のようです

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EtherCATスレーブ
スレーブ(メイド)として使うため

  • (なんとか入手を試みてください)
  • 今回は、デジタルIOスレーブを1個だけ(オムロン社GX MD-1611)使います

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Cコンパイラ、開発環境
SOEMをコンパイル/ビルドし、トレースするため


SOEMソースコード
PCでEtherCATマスタを作るため

  • 本連載では、SOEM1.3.0を前提とします
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ネットワークアナライザ
EtherCATのフレームを直接見るため

  • 本連載では、最新のWireshark(本連載では1.12.3)を前提とします(1.12.3より以前のバージョンでは、USB-イーサネット変換アダプタのフレームがキャプチャできないようです)
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パケットキャプチャライブラリ
EtherCATのフレームを直接見るため

  • 本連載では、最新のwinpcap(本連載では4.1.3)を前提とします(最新のWiresharkをインストールすると、漏れなく最新版のインストールを尋ねてきますので、このタイミングでインストールしても良いです)

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