15分でBluetooth機器を開発? 数千ページの仕様書から解放するSIGのツール:無線通信技術 Bluetooth(2/2 ページ)
Bluetooth市場は、今後も高い成長率が見込まれている。Bluetooth SIGが2015年4月に発表した、「Bluetooth Developer Studio」を使えば、Bluetooth対応機器を短期間に開発できるという。数千ページもの仕様書を確認する作業から、ようやく解放されることになりそうだ。
用途の広がりに対応
Gao氏は、「Bluetooth Developer Studioを開発した理由は、1つにはBluetoothの市場規模が大きくなり、開発者の数も増えたことがある。また、重要な要素としてBluetoothのアプリケーションの幅が広がったということが挙げられる。(Bluetooth 3.0までの)クラシックBluetoothでは、用途は(主にオーディオ分野に)限られていた。ヘッドフォン用のプロファイルだけ用意しておけば、何百万個もの機器に対応できていたのだ。だが今は違う。アプリケーションの数もプロファイルの数も何百万とある」と語る。企業だけでなく個人が趣味でBluetooth機器を製作する場合もあり、これまでのように数千ページにわたる仕様書を確認してもらうという方法は適用できなくなっているのだ。「Bluetooth Developer Studioのような総合的な開発ツールは、無線技術の中では初めてだ」(同氏)。
SIGの課題
Bluetooth SIGのメンバー企業は順調に増加しているが、課題もある。とにかく数が多いので、「メンバーにどのような価値を提供できるのか」を常に念頭に置いているとGao氏は語る。Bluetoothへのニーズやアプリケーションが多様化する中、相互運用性を図っていくのも大変な作業だ。ただ、今後もメンバー企業は増やしていく方針である。「メンバー企業は多いほどいい。日本企業の貢献にも期待している」(同氏)。
現在Bluetooth SIGでは、16のWGが活発に活動している。仕様を決める「Core Specification WG」や、補聴器関連を扱う「Hearing Aid WG」などがある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- Bluetooth 4.2 インターネット接続機能を理解する
2014年12月に策定が完了したBluetooth 4.2。この最新規格の最も大きな特徴は、モノのインターネット(IoT)を実現する上で欠かせないIPv6接続をサポートするということです。本稿では、開発者にとって具体的にどのようなメリットがあるのかを、プロトコルの点から解説します。 - まさにIoT向け、勢い伸ばすBluetooth 4.1
モノのインターネット(IoT)の追い風に乗って、Bluetooth搭載製品が大幅に増加している。約1年前に策定が完了したBluetooth 4.1は、低消費電力という特性に加え、多くのスマートフォンに搭載されている実績、メッシュ型トポロジの採用など、IoTの実現に適した規格となっている。 - Bluetooth SIGが「Smart mesh WG」を立ち上げ、機器接続数の拡大に向け
Bluetooth SIG(Special Interest Group)は、Bluetooth Smart技術を活用したメッシュネットワークの実用化に向けて、近くワーキンググループ(WG)を立ち上げ、仕様策定に入る。 - IoTではZigBeeよりもBluetooth? 注目技術が勢ぞろい
Bluetooth技術のカンファレンス「Bluetooth World」が米国で開催された。BluetoothとZigBeeはよく比較されるが、モノのインターネット(IoT)分野ではBluetoothの勢いの方が強いようだ。