まさにIoT向け、勢い伸ばすBluetooth 4.1:無線通信技術(1/2 ページ)
モノのインターネット(IoT)の追い風に乗って、Bluetooth搭載製品が大幅に増加している。約1年前に策定が完了したBluetooth 4.1は、低消費電力という特性に加え、多くのスマートフォンに搭載されている実績、メッシュ型トポロジの採用など、IoTの実現に適した規格となっている。
多くのスマートフォンに搭載されているBluetooth。米国の市場調査会社であるIHSは、2018年までに96%のスマートフォンにBluetoothが搭載されると予測している。2013年12月には最新仕様であるBluetooth 4.1の策定が完了していて、Bluetooth Smart*)搭載製品は今後もさらに増えていくとみられている。
*)Bluetooth Smartは、低消費電力に対応したBluetooth Low Energyのブランド名
1日当たり850万個
Bluetooth SIGでテクニカル プログラム マネージャを務めるビンセント・ガオ氏は、「Bluetoothは非常に成功している無線通信技術といえる。2000年には、世界各国に出荷されるBluetooth搭載機器は、年間で80万個ほどだった。それが2014年は、1日当たり850万個にまで増加している」と話す。この数字だけを見ても、いかにBluetooth対応機器が増えているかが分かるだろう。
用途もさまざまだ。オーディオシステムやスマートフォンといった標準的に搭載されている機器から、スイングのフォームが分かるゴルフクラブ、シュートした時の軌道が分かるバスケットボール、歯を磨いた時間と回数を計測できる歯ブラシ、体温も測れる赤ちゃん用のおしゃぶりと、幅が広い。
ガオ氏は、「iOS、OS X、Android 4.3、Windows 8、Blackberry 10といった主要なOSがBluetooth Smartをネイティブサポートしていることもあり、“アプセサリ(アプリケーション+アクセサリ)”を開発しやすくなっている。大手企業だけでなく多くのスタートアップ企業がBluetooth Smart対応機器が開発していて、世界各国において、アイデアを駆使した革新的な製品の投入を期待できる」と話す(関連記事:Bluetoothの新用途が続々登場、2018年には対応機器が320億個に)。
IoT向けのBluetooth 4.1
ガオ氏は、Bluetooth 4.1が、とりわけモノのインターネット(IoT)の実現に大きく貢献できると期待している。Bluetooth 4.1が、メッシュ型トポロジを採用するようになったからだ。「従来のバージョンでは、2つのポイントのみを結ぶ、あるいは1つのポイントから放射状に別のポイントにつながるスター型トポロジだった。Bluetooth 4.1では、1つのポイントが複数のポイントに接続されるメッシュ型のネットワークトポロジを形成できる。しかも低消費電力で実現できるところが重要なポイントだ」(ガオ氏)。これによって、より多くの機器を接続できるようになる。
さらに、課題の1つであった到達距離も伸ばすことができるようになっている。例えばCSRは、Bluetooth 4.1のメッシュプロトコルを採用したメッシュネットワーク構築技術「CSRmesh」を開発した(関連記事:無数の機器をスマホで制御可能な「Bluetooth Smartのメッシュ技術」)。CSRmeshを使えば、メッシュ状に接続された機器同士が、リレーするような形で通信するため、到達距離を拡大することができる。
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