1.5μm帯レーザー光による光衛星通信に成功、誤り訂正も正常に機能:通信技術(1/2 ページ)
情報通信研究機構(以下、NICT)は、低軌道衛星と地上局の間で、波長1.5μm帯のレーザー光を用いた光衛星通信に成功した。このシステムには誤り訂正機能も搭載されており、衛星から送信した画像データを正しく受信できることを確認した。
情報通信研究機構(以下、NICT)は2015年6月、低軌道衛星と地上局の間で、波長1.5μm帯のレーザー光を用いた光衛星通信に成功したと発表した。このシステムには誤り訂正機能も搭載されており、衛星から送信した画像データを正しく受信できることを確認した。
今回の実験に向けてNICTは、1.5μm帯レーザー光を用いて通信を行う小型光通信機器(小型光トランスポンダ:SOTA)を開発した。このSOTAは、重さが5.9kgで、消費電力は15Wと小さいのが特長だ。重さが50kg級の超小型衛星「SOCRATES」に実装され、2014年5月末に打ち上げられた。2014年8月より軌道上の試験や実験が行われている。
衛星と地上局の通信に光を用いた場合、電波に比べてアンテナ(望遠鏡)の直径が小さくても高い利得が得られ、効率よくエネルギーを伝送することができるのが特長だ。このため、今回のように搭載する通信衛星が小さくても、伝送効率を飛躍的に向上させることが可能になるという。
ただし、地表から350〜1400km程度の比較的低い高度で地球を周回する低軌道衛星は、地上から見た場合の移動速度が、静止衛星などに比べると極めて速く、互いを捕捉追尾するためには高い精度が要求される。今回は、地上局から衛星に高精度にビーコンを照射し、衛星は地上局のビーコンを追尾することで、互いの捕捉追尾を実現している。
光を使った宇宙通信への取り組みでは、2014年に米国のジェット推進研究所が、国際宇宙ステーションと地上局間で1.5μm帯の光源を用いた通信に成功している。ただし、その時は大型の与圧チャンバに通信装置を格納して動作させており、「宇宙環境下で装置を作動させたのは今回が初めて」という。
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