FD-SOIの利用加速へ、欧州で専門プロジェクトが発足:業界動向(2/2 ページ)
CEA-Letiとそのパートナー各社が、FD-SOI(完全空乏型シリコン・オン・インシュレータ)を使ったデバイスの開発を加速するためのプロジェクト「Silicon Impulse」をスタートする。FD-SOIの開発メーカーは、アーキテクチャレベルからシステム実装まで、幅広い範囲にわたり専門家からアドバイスや提案を受けられる予定だ。
アーキテクチャからシステムまで、広範囲でサポート
FD-SOIエコシステムには、Synopsysも参加している。同社は、実績のある「DesignWare IP」製品群や、FD-SOI設計コミュニティに向けたEDAツールなど、豊富なポートフォリオを取りそろえている。Silicon Impulseでは現在、プログラムの成果をさらに拡大すべく、Synopsysにプログラムへの参加を要請するための話し合いを進めているところだという。
プログラムでは、柔軟性に富んだ体制が整えられている。Silicon Impulsesが関与する範囲としては、アーキテクチャ関連のコンサルティングのみに限られる可能性もあれば、システム全体の開発/提供まで及ぶ場合も考えられる。
このためFD-SOIの開発者は、自分のプロジェクトにおいて、コンセプトの段階から製品のハンドオフに至るまでサポートを受けることが可能だ。メーカー各社は、アーキテクチャ関連のアドバイスを受けられる他、システムに実装できるかどうか確認してもらったり、提案を受けたりするなど、極めて高度なレベルから自社製品を開発できるようになる。
また、Letiとそのパートナーは、ファウンデーションIPの他、より複雑なシステムレベルのIPブロックやRF、不揮発性メモリ、MEMS、3Dコンポーネントなど、さまざまな最新技術を提供することにより、ユニークでありながら製造が可能な製品を形作っていくことができるようになる。また別の段階において、LetiとListが組み込みソフトウェアを提供することにより、製品全体を完成させることも可能だ。
MPWシャトルを提供することにより、幅広いユーザーやプロジェクトに扉が開かれる。開発者は、特にミックスドシグナルやアナログ/RF技術、新しいIPなど、FD-SOIにおいてシリコン実証が求められる独自のアイデアに関して、試験を実施できるようになるだろう。
まずは2016年2月に、28nmプロセスを適用した最初のFD-SOIのMWPシャトルが、スイス・グルノーブル近郊にあるSTMicroelectronicsの工場にて製造される予定だという。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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