堅調なシャオミ、スマホ戦略のその先は?:Xiaomi 社長 Bin Lin氏 インタビュー(4/5 ページ)
設立からわずか4年で世界第3位のスマートフォンメーカーとなったXiaomi(シャオミ)。だが、競争が激しい同市場だけにいつまでも頼っているわけにはいかないだろう。それを見越してなのか、Xiaomiはさまざまな企業に投資し、大規模なエコシステムを構築している。
ユーザーとの距離はゼロ
Lin氏は、「Xiaomiはなぜそれほどまでに関与できるのか」とする問いに対し、「製品レベルの定義は、簡単なことではない。数多くの妥協が求められ、それが設計やコスト、機能などにおいて、実際の結果として反映されてしまうためだ」と説明する。
Lin氏は、「Xiaomiとユーザーとの間の距離は、今やゼロに等しい」と強調した。そのいい例が、Xiaomiが主催する非常に活動的なユーザーフォーラムだ。現在、4000万人もの会員メンバーを抱えているという。Lin氏は、「会員メンバーたちは、毎日20万件ものメッセージを投稿し、自分たちの好き嫌いについて熱心に主張したり、特定の製品の問題点などについて議論したりする。彼らがこうして積極的に関与してくれるため、時にはXiaomiも、独自に抱えている問題をいくつかフォーラムに投げ掛け、彼らの反応を見ることがある」と述べる。
ここでいったん、フォーカスグループに関する話題は横に置いておこう。Xiaomiは、4000万人規模のファンを率いることで、ユーザーのニーズや要望を引き出せると確信している。同社はこのような力を、エコシステムのパートナーたちとの間で積極的に共有したいと考えている。
トロイの木馬?
Lin氏は、2時間に及ぶインタビューにおいて、幅広い話題について語ってくれた。しかしその中で、「IoT」という言葉に関しては、促されるまで全く口にしなかった。
同氏は、「当社の製品はおそらく、“民生機器”ではなく“IoTデバイス”と呼ぶべきなのだろう。しかし、当社が開発する民生機器製品はすべて、もともとインターネット接続に対応している」と述べる。
Xiaomiは、インターネット接続のための手段として、同社のエコシステム企業だけでなくそれ以外の企業にも、小型の無線LANモジュールを提供している。このモジュールには、Broadcomの無線LANプロセッサとXiaomiのサービスAPIが搭載されているという。
Xiaomiを中心とするIoTエコシステムにとっては、これが“トロイの木馬”となるのだろうか。この問いに対しLin氏は、「モジュールの使用は強制ではないため、そうはならない。しかし、大半の企業は、自社のデバイスの良さを広く知ってもらったり、Xiaomiのクラウドサービスを利用したいという考えから、モジュールを採用している。また、他のデバイスに実際に通信できるような製品を開発するのは非常に難しいことだ」と述べる。
AppleとSamsung Electronicsは、自社のエコシステムを推進していくために、「Homekit」(Apple)や「SmartThings」(Samsung)などのソフトウェア開発キット(SDK)を提供している。しかし、Xiaomiは既に、ハードウェアメーカーがほとんど手を加える必要のない、実質上の“ターンキーIoTソリューション”を提供しているという。
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