太陽電池、これまで10年これから10年(前編):『EE Times Japan 10周年』特別編集(3/6 ページ)
EE Times Japan創刊10周年を記念し、主要技術の変遷と将来を紹介する。太陽電池は燃料を必要としない未来の技術としてもてはやされてきた。しかし、国の産業政策は必ずしも成功してはいない。では技術開発の進展はどうだったのか。これまでの10年とこれからの10年を紹介する。
EE Times Japanではどのように報じたか
EE Times Japanは、2008年9月号のCover Storyで太陽光発電を取り上げている(図6)。
2005年の補助金終了を受け、国内の太陽光発電が落ち込む中、諸外国では明るい未来も見えていた。そこで、特集記事では「太陽電池の夜明け、効率向上とコスト低下進め2015年離陸へ」と題した。
冒頭部分は図7のように始まる。太陽光発電の発電コストが電力会社の供給する電力と同等になることを「グリッドパリティ」と呼び、当時はそれがいつなのかが議論となっていた。その時期が、2012〜2015年だという主張だ*5)。
*5) ドイツFraunhofer ISEが2013年に発表した「Levelized cost of electricity renewable energY Technologies」では、ドイツ国内の発電所の設計、建設から運営、廃止までの全てのコストを、生涯発電量で割った均等化発電原価(LCOE:Levelized Cost Of Electricity)を計算。2013年時点で太陽光発電は0.08〜0.14ユーロ/kWh。石炭火力は0.065〜0.08ユーロ/kWhだった。日射条件に優れる米ニューメキシコ州では、2014年に完成した太陽光発電所が5.79米セント/kWhで電力を供給する。
市場が拡大し、グリッドパリティが見えてきた理由は、諸外国で導入が進みつつあった固定価格買取制度(FIT)にある。記事中では、「三洋電機によると、2003年にほぼ同規模だった日本市場と欧州市場は、(FITによって)2007年に、日本市場1に対して欧州市場が5に成長したという」と記されている。
太陽電池モジュールの製造規模が増えると製造コストは下がる。いわゆる習熟曲線だ。当時、コストを見積もるさまざまな研究が進んでいた。2008年9月号では図8のようにコスト予測を紹介している。
100GWという数字は達成不可能なものではない。実際、2014年通年の累積設置量(全世界)は177GWに達している。
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