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技術の「染み出し」が武器に、圧倒的な製造力で勝負するアルプス電気電子部品に徹して60年超(3/4 ページ)

アルプス電気は、長年かけて培った技術を市場に合わせて改善するという“技術の染み出し”によって発展してきた。高品質な製品を圧倒的な量で製造することを得意とする同社だが、反対にそれが弱みになることもあるという。アルプス電気の製品開発の歴史を紹介する資料館「ALPS MUSEUM 未来工房」からは、アマチュアラジオ愛好家に人気を博したエアバリコンやプリンタなど、懐かしい電子部品を紹介しよう。

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高品質な製品を圧倒的な量で――強みでもあり、弱みでもある

 「当社の強みは、高品質な製品を圧倒的な量で製造できることだ」。アルプス電気はこのように語る。複雑な形の金型を高精度で作る技術を持っていることから、例えば、1日に何十万個という量を安定して製造できるという。中国や韓国のメーカーでは、同じようなモノは作れても、ばらつきが大きく歩留まりが悪かったり、「良品」として販売されていてもすぐに壊れてしまったり、といったことが起きているという。

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アルプス電気の利益頭「VCMアクチュエータ」 (クリックで拡大)

 スマートフォンカメラなどのオートフォーカスカメラ機構として使われるVCM(Voice Coil Motors)アクチュエータは、現在、アルプス電気の利益頭となっているが、これなどは「高品質な製品を圧倒的な量で」という同社の特技が存分に生かされている製品だという。「非常に複雑な構造で、微細なコントロールが必要なものを、圧倒的な量で、品質にぶれがなく製造できる。それが、世界中の顧客から声がかかる理由になっている」(同社)と強調する。

 ただ、実はこの点が同時に弱みでもあるという。「圧倒的な量産に強いということは、逆に言うと、“少数のビジネス”が苦手ということでもある。例えば、ロットが月に100個しか出ない。こうなると、当社のビジネスとしては成り立たなくなってしまう。そのため、ドローンとか自動運転など、立ち上がり始めの新しい市場に対しては製品を提供しにくくなる。提供はできるけれども、どうしても単価は上がる。スマートフォンに搭載するタクトスイッチは、毎日300万個以上という規模で量産する必要がある。こういう市場になれば、当社の出番だ」(同社)。つまり、それくらいの規模になるまで市場が成長するのを待たなくてはいけないのだ。

技術は「染み出し」

 電子部品を手広く扱っている同社だが、四方八方の市場を狙って「やたらと製品ラインアップの拡充を図るつもりはない」と言い切る。「当社が得意とするのは、長年培ってきた技術を基に、それを市場に合わせて改善、進化させていくことだ。当社はこれを“(技術の)染み出し”と呼んでいる」(同社)。磁気ヘッド技術を生かしたセンサー群などは、まさに“染み出し”を体現した製品だといえるだろう。

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