FD-SOIに注力するフランスLeti、エコシステムの構築へ:IoT機器設計に向けて(2/3 ページ)
フランスのCEA-LetiがFD-SOI(完全空乏型シリコン・オン・インシュレータ)に力を入れている。Letiは、IC設計プラットフォーム「Silicon Impulse」を立ち上げることで、FD-SOIを活用したIoT機器の開発を促進する。
FD-SOI活用を促すプラットフォーム
EE TimesはLeti Daysの開催中に、CEA-Letiの新CEO(最高経営責任者)を務めるMarie-Noëlle Semeria氏(2014年10月に同職に就任)に話を聞いた。Leti Days 2015は特に、IoT(モノのインターネット)に焦点が当てられていた。さらに、Leti Daysに先立ち、FD-SOI(完全空乏型シリコン・オン・インシュレータ)に関するワークショップが2日にわたって開催された。
プロトタイプ作製のために200mm/300mmウエハー製造ラインを所有するLetiは、SOIウエハーの製造に関する主要技術を開発した。同技術は、SOI技術を手掛けるフランスSoitecに譲渡されている。さらに、LetiはSTMicroelectronicsと提携してFD-SOIベースの半導体の開発に取り組んでいる。Letiは30年もの間一貫して、業界パートナーと提携してFD-SOIプロジェクトを進めてきた。
Letiは既に、FD-SOIの研究開発に相当な資金を注いでいる。同技術が業界に受け入れられるには長い時間がかかった。そして、現在もまだ開発中である。EE Timesは、FD-SOIの開発からLetiはどんな教訓を得たのかを尋ねた。
Semeria氏はLetiのFD-SOI開発の経緯を全て見てきたわけではないが、これまでを振り返ってみて、彼女なら別のやり方をしたと思える点があるかを聞いてみた。
これに対し、Semeria氏は、「FD-SOI開発から得た教訓は2つある。1つは、同技術のパイオニアとして、主要な企業を含めた包括的なエコシステムの構築に最初から取り組むべきだったということだ」と述べる。FD-SOIの成功に必要な技術の中には、30年前には存在しなかったものもある。だが、まだ技術的に安定しない段階では、業界パートナーを獲得するよりも、エコシステムの全メンバーにオープンなプラットフォームを一から構築する努力もできただろう。
さらに、「2つ目の教訓として、1つの技術に集中して取り組み続けることがいかに重要であるかを学んだ。たとえ、成果を上げられるまでに長い時間がかかるとしてもだ」と続けた。
Semeria氏は、「“エコシステムの構築”と“Letiの国際化”を進める上で、自身がCEOに適任だと自負している」と話す。
その一例が、Letiが2015年に新たに立ち上げたIC設計プラットフォーム「Silicon Impulse」だ。エネルギー効率に優れたIoT向けに、FD-SOIを活用した新デバイスを開発することを目指して作られたものである。
製品に対する低消費電力化のニーズは増える一方だ。Silicon Impulseは、こうした製品に特化した設計サービスと製造施設のネットワークとしても機能する。Silicon Impulseの使命は明確だ。エコシステムを拡大し、FD-SOIのような新技術を統合した新製品の開発を促進することである。
Silicon Impulseを活用するメリットは、FD-SOIだけではない。
Letiが開発したモノリシック3次元(3D)チップ製造技術「CoolCube」は、2次元(2D)による微細化に代わる有力な技術として期待されている。技術パートナーとして、Qualcommとも既に提携している。だが、Letiは、Qualcommとの提携よりもさらに大きな展望を抱いている。Silicon Impulseを、CoolCubeのプラットフォーム/エコシステムとしても機能させる計画だという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.