米大学が“3D指紋認証スキャナ”を開発、パスワードは過去のものに?:真皮まで画像化(1/2 ページ)
米国カリフォルニア大学の研究チームが、指の表皮だけでなく真皮まで画像化する“3D(3次元)指紋認証スキャナ”を開発した。表皮だけを見る現在の指紋スキャナとは異なり、表皮の下の組織まで画像化するので、なりすましが難しくなるという。極めて安全な指紋認証システムを実現する鍵になりそうだ。
生体認証は確実に地位を確立していて、パスワードを使ったセキュリティは既に過去のものになろうとしている。
例えばAppleは、同社のすべての新型モバイル機器において指紋認証技術を採用している。このため、他のメーカー各社もこれに追随せざるを得ない状況にある。また、網膜スキャナはこれまで、ホワイトハウスや米中央情報局(CIA)、米国家安全保障局(NSA)などのセキュリティーレベルが高いエリアにおいてのみ、その必要性が正当化されていたが、現在では企業環境でも一般的に普及するようになった。
うんざりするような長いパスワードを覚えなければならないことや、ゆがんだ英数字を入力する認証ツール「CAPTCHA」でさえももはや安全ではないという状況を受け、米大学の研究者たちが、皮膚の表面だけでなく真皮も見ることができる“3D(3次元)指紋スキャナ”を開発した。超音波MEMSセンサーを利用している。皮膚表面下を見ることができるため、皮膚の油分や水分などに起因した検出漏れがなく、極めて安全な認証システムを実現することが可能だという。パスワードはもはや、過去のものになるかもしれない。
米University of California Davis(カリフォルニア大学デービス校)の教授であるDavid Horsley氏は、EE Timesの取材に対し、「超音波MEMSセンサーは、皮膚表面下の真皮を画像化することができるため、表皮だけを画像化する場合に比べて、指の乾燥や水分、油分などによるエラーを発生させることがほとんどない。こうした点で、堅ろう性に優れていると言える」と説明する。同氏は、米University of California at Berkeley(カリフォルニア大学バークレー校)の共同ディレクタであるBernhard Boser教授と共に、同バークレー校のBerkeley Sensor and Actuator Center(BSAC)において、共同ディレクタを務めているという。Horsley氏は、「さらに、3D指紋認証技術では、画像を複製するには指の3D模型を作成しなければならないため、なりすましをすることが極めて難しい」と述べる。
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