IBMが7nm試作チップを発表、Intelに迫る勢い:EUVとSiGeチャネルで(3/3 ページ)
IBM Researchが、EUV(極端紫外線)リソグラフィとSiGe(シリコンゲルマニウム)チャネルを使用した7nmプロセス試作チップを発表した。IBM Researchはここ最近、最先端プロセスの研究開発成果の発表に力を入れていて、7nmプロセスの技術開発に自信を示してきたIntelに迫る勢いを見せている。
量産までには長い道のり
Khare氏は、「EUVは非常に難しい技術で、7nmプロセスでの製造を成功させるには、多くの材料の変更や最適化が必要だった。だが、IBMには半導体技術で画期的な成果を上げてきた実績がある。例えば、シングルセルDRAMや化学増幅フォトレジスト、銅インターコネクト、SOI(シリコン・オン・インシュレータ)、歪みエンジニアリング、マルチコアプロセッサ、液浸リソグラフィ、high-k(高誘電率ゲート絶縁膜)、組み込みDRAM、3次元チップ積層などだ。当社は2014年に、今後5年間で30億米ドルの投資を行うと発表したが、今回の7nm試作チップは、進化の幕開けにすぎないだろう」と述べている。
Endpoint Technologies AssociatesのプレジデントであるRoger Kay氏は、EE Timesに対し、「7nm試作チップは素晴らしい成果だ。ただ、量産までには長い道のりが待っているだろう」と述べている。「Intelは7nmプロセスの開発について強い自信を示してきたが、ここ最近はおとなしく、7nmプロセスではIBMの方が先行しているようにも見える。IBMは、各メーカーが苦戦しているEUV技術を(今回の試作チップに)使用し、SiGeチャネルを採用したことも、注目に値する発表だ。IBMの計画が予定通りに進めば、2016年には10nmチップのサンプルが登場するだろう。Intelの10nmチップのサンプルも同じころに出てくると思われる」(同氏)。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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