5G規格策定は今冬に開始、ようやく一歩前進:実地試験は早ければ2016年にも(2/2 ページ)
5G(第5世代移動通信)が、ようやく実用化に向けて動き出そうとしている。デモや試験、仕様に関する取り組みが、今後数カ月以内に開始される予定だという。規格策定は、2015年12月に開始される見込みだ。
大規模MIMOへの取り組み
5G規格は大規模MIMO(multiple-input and multiple-output)を採用することで、トラフィック密度を最大化しながら干渉を最小化するとも見込まれている。この技術は、数十から数百の小さなアンテナを用いて、信号ビームを生成・制御する。
NokiaのMerz氏は「全てのアンテナを制御する方法や、チップスケール設計を用いてトランシーバをどのように準備するのかについて、今後もさらに多くの研究を行うようになる」と述べた。
8〜16基のアンテナを用いて、LTE向けのMIMOの開発が進んでいて、250基ものアンテナを使える5Gへの道を開いている。Merz氏は「われわれは、多素子アクティブ・フェーズド・アレイ・アンテナ(APAA)を用いた、3.5GHz帯での通信において、三菱電機と共同で評価・実験を行っている。また、ビームフォーミングについてはNTTドコモと共同で研究している」と付け加えた。

Nokia Networksと三菱電機が、「Brooklyn 5G Summit」(2015年4月、米ニューヨーク)にて共同で行ったデモの概要。三菱電機製のAPAA試作機をNokia Networks製の基地局装置に接続。4ビームによるマルチビームフォーミングを行い、4ビームの特性を同時に確認したという 出典:三菱電機
Intelのシニアディレクタとして、同社のミリ波に関する取り組みを率いているAli Sadri氏は、一連の5Gサービスの1つである高度なWi-Fiについて、「大規模MIMOを用いたプロジェクトがいくつか進行中である」と述べた。
Sadri氏は電子メールのやり取りの中で、「そのうちの1つは、マルチユーザーMIMO(MU−MIMO)などの規格を含むIEEE 802.11ayにおいて、WiGigを拡張することだ」と記している。さらに、「短距離アクセスやバックホール/フロントホール向けとして、128以上のアンテナ素子を搭載した大型アレイにも注目している。60GHz帯において、1ギガビット/秒の通信を最大400m(見通し)まで実現できるとみている」と付け加えた。
LTEの“将来バージョン”
5Gの性能のほとんどは、現在のLTEネットワークを向上させるための取り組みから発展するものになるだろう。
LTEの将来的なバージョンは、最近注目を集めている近接情報サービスをサポートするようになる他、5Gの要件とされている低遅延の“先駆け”としての役割を果たすだろう。Korea Telecom(KT)と現地の試験で協力しているMerz氏によると、いわゆるマシンタイプ通信に向けた低コストバージョンのLTEは「順調に進展している」という。こちらについては、2017年初めにリリース予定のLTE Release 13の一部になるとされている。
さらに、Nokiaはドイツ・ミュンヘンの放送局とともに、LTEを用いて地上波テレビ信号を伝達する実験を行っている。Merz氏は「数々の有意義な取り組みが進行中である」と述べた。
【翻訳:青山麻由子、田中留美、編集:EE Times Japan】
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