EUがQualcommの調査へ、独禁法違反の疑いで:ベースバンドチップの提供に関して
EU(欧州連合)が、Qualcommを独占禁止法違反の疑いで調査に乗り出す。モバイル機器に搭載するベースバンドチップについて不正行為がなかったかどうかが、調査の焦点となる。
EU(欧州連合)の欧州委員会は、Qualcommに対し、モバイル機器に搭載するベースバンドチップについて、独占禁止法違反の疑いで2件の調査を正式に実施する。
1件目の調査は、スマートフォンやタブレット端末に搭載されている3G/4G向けベースバンドチップについて行われる。Qualcommから独占的にベースバンドチップを購入する顧客に対してインセンティブ(報奨金)を提供していたかどうかが、調査の焦点となる。2件目は、Qulacommが、競合他社を市場から追い出すために、極端に低い価格を設定する、いわゆる「略奪的価格設定」を行っていたかについて調査が行われる。
EUの競争法を担当するMargrethe Vestager氏は、「われわれは、ハイテクメーカーが、各社の製品の正当な価値に基づいて競争できているかを確認するため、調査を行う」と述べている。
Googleに対しても調査中
独占禁止法違反の調査期間は、特に法律で定められてはいない。過去にIntelとMicrosoftに対して同様の調査を行った際には、結論が出るまでに何年もかかっている。
EUは2015年4月、Googleを独占禁止法に違反したとして正式に提訴する構えだと発表している。これは、欧州委員会が過去数年にわたりGoogleを調査してきた結果に基づいている。欧州委員会は、Googleが検索エンジンサービスにおける優位的な立場を不当に利用しているとして、調査を行っていた。もしGoogleが違反していたとの結論に至った場合、Googleに年間売上高の10%に相当する罰金が科せられる可能性がある。Googleの2014年における売上高は660億米ドルなので、最大で66億米ドル(約8190億円)もの罰金を支払う事態にもなり得る。
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