IoTを支える無線センサー端末の「完全体」を米国ミシガン大学が試作:福田昭のデバイス通信(32)(2/3 ページ)
無線センサーネットワークは、IoT(モノのインターネット)を支える基盤技術の1つだ。“IoT向け”という点を考慮すると、無線センサー端末の「完全体」というのは、外部からの充電が不要で、設置箇所に半永久的に放置できるものになるだろう。その「完全体」に近い端末を、米国のミシガン大学が試作している。
太陽電池と昇降圧回路で自己発電・給電機能を実現
このような「完全体に近い」無線センサー端末をこのほど米国ミシガン大学(University of Michigan)が試作し、国際学会「VLSIシンポジウム」で概要を発表した(講演番号C13.2)。
試作した無線センサー端末の体積は、わずか10.6mm3しかない。仮にサイコロのような正立方体をしていると考えると、一辺の長さは約2.2mmになる。3mm角のサイコロよりも小さい。
試作した端末の実際の形状は、直方体である。アンテナを接続したガラスの基板に、機能ごとのダイを積層した。積層したシリコンダイの枚数は6枚、その他の材料によるダイの枚数は1枚である。ガラス基板のすぐ上は、薄膜リチウムのバッテリ層(リチウムイオン二次電池)であり、その上に6枚のシリコンダイを積層してある。シリコンダイは下から、プロセッサ層(高圧回路、ARM Cortex-M0コア、SRAMマクロなど)、デカップリング層、無線層(UWB送信回路)、センサー層(温度センサー)、ハーベスタ層(昇圧回路)、太陽電池層(太陽電池セルとフォトダイオード)となっている。ガラス基板から太陽電池層の裏面までは黒色の樹脂で封止してあり、太陽電池層の表面は透明な樹脂で封止してある。シリコンダイの各層間はボンディングワイヤで接続した。また電気的にはシリアルバス「Mbus」を通じて各層間で相互に通信している。
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