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ご主人様とメイドはテレパシー通信をしている?江端さんのDIY奮闘記 EtherCATでホームセキュリティシステムを作る(4)(8/9 ページ)

さて、今回はEtherCATのメモリについてお話します。EtherCATのPDO通信、SDO通信は、ご主人様(マスタ)とメイド(スレーブ)は、このメモリを介した“テレパシー通信”によって、完璧なコミュニケーションを実現しています。それを説明した後に、いよいよ、本連載の山場の1つとして、SOEM(Simple Open EtherCAT Master)のデバッグ&トレース環境の作り方を紹介します。

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エンジニアの心を殺す者たち

 誤解されては困るのですが、私はこのような『サービスプロバイダや製造メーカーのマインドが間違っている』とは思っていません。

 販売戦略としては決して悪くない。虎の尾は、自分でない誰か(海外のメーカーなど)に踏んでもらうのが一番です。

 ただ、このような戦略が確実に壊すものが1つあります。『エンジニアの心』です。

 前述のGoogleのように、『人の家の写真を取りまくった揚げ句、それをネットにアップロードする』という傍若無人の振舞いができるような、ほんの少しの『野蛮さ』があれば、と思わずにはいられません。

 「まずやってみる」→「問題があれば、その時に考える」という思考形態は、私たちに欠けているものです。

 「まず提案する」→「安全性はどうだ、法律はどうだ、世論はどうだ、運用はどうだ、売り上げはどうだ」→(このループが続く)→「もう、疲れたよ。やめよう」と、いう流れで、一体これまで、いくつの「若いやる気」と「野心」が潰されてきたことか。

 もちろん、スピンアウト(独立してベンチャーを立ち上げる)の気概がないわれわれエンジニアの側にも責任の一端はあるかもしれません。実際、最近、ベンチャー融資の総額が増えているというニュースを見ました。これは、大変明るい話なのかもしれれません。

 その一方で、失敗したベンチャーの末路が、どのような悲惨な最期を迎えているか、という話は、なかなか見つけることができません。

 私が大学1年生の時、起業した父の木工会社が、連鎖倒産のあおりを食らいました。その倒産元の夫婦は、ヤクザに追い込まれて、息子たちを逃がした後、夫婦で自殺しました。あの時は、私も大学の退学を覚悟しました。

 「起業家がきちんと法律通りに守られる」と信じている人は、一度、裏社会の暴力装置と、日本の自殺者の構成比率を調べることをお勧めします。

 私が覚えている限り、単に「失敗すれば終わり」 ―― で済ましてくれるほど、世の中は優しくなかったですよ。


 今までにない新しいコンセプト(「老人ホーム4.0」とか)の何かを始めたければ、自分のやったことに対する責任が、自分だけに戻ってくるDIYのR&D(Research and Development:研究開発)が、結局のところ、面倒が少なくて、手っ取り早いのです。

 私が、自分の力でネットワークを敷設して、自分でマスタやスレーブや介護装置を設置した揚げ句、介護ロボットの誤動作で指を切り落しても、移動昇降椅子から転げ落ちて死亡しても、それは自業自得です。

 それに、私が、休日にソファでビールを飲みながらプロ野球を観戦していようが、あるいは、自宅のセキュリティシステムをDIY開発していようが、それは私の自由です。他人からとやかく言われる筋合いはありません。

 ただ、2つほど問題があります。技術力と資金力です。

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