コンデンサ表面に撥水処理、村田製作所が製品化:結露によるイオンマイグレーションを抑制
村田製作所は、積層セラミックコンデンサの表面に撥水(はっすい)処理を施した「撥水コンデンサ」を開発し、サンプル品の出荷を始めた。結露によるイオンマイグレーションの発生を抑制することが可能となる。
村田製作所は2015年7月、積層セラミックコンデンサの表面に撥水(はっすい)処理を施した「撥水コンデンサ」を開発し、サンプル品の出荷を始めた。2015年中に量産を開始する。結露によるイオンマイグレーションの発生を抑制することが可能となる。車載機器などの用途に向ける。
撥水コンデンサは、撥水処理膜をコンデンサ表面に施した。これによって、温湿度の変化が大きい場所で利用される車載用ECUなどで、部品表面に結露が発生した場合でも、その水滴が点在する状態を維持することができる。しかも、外部電極間をまたぐ水滴の成長を遅らせることでイオンマイグレーションの発生を抑制することができるという。また、撥水処理膜は外部電極の金属が水滴へ溶出(イオン化)することを抑えている。
黒色水溶性ペンで濡れ性の評価を行った結果、撥水処理品の撥水性は未処理品に比べて、高い効果が得られることが分かった。
撥水コンデンサは、一般電子機器向けの「GXMシリーズ」、エンジンECUやカーナビゲーションなど車載システムに向けた車載電子部品規格「AEC-Q200」準拠の「GGMシリーズ」及び、車載システム向けに2素子直列構造とした「GGDシリーズ」の3シリーズがある。
定格電圧はGXMシリーズが2.5〜100Vdc、GGMシリーズは6.3〜100Vdc、GGDシリーズは25〜100Vdcとなっている。外形寸法は、「1005」、「1608」、「2012」、「3216」及び「3225」の各サイズを用意している。
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