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超低消費デバイスが作製できる強誘電体薄膜スマホの駆動時間も飛躍的に延びる!?(1/2 ページ)

東京工業大学の清水荘雄特任助教らの研究グループは、強誘電体の極薄単結晶膜の作製に成功した。極薄膜でも安定した特性の強誘電体膜が得られ、超高密度メモリやスマートフォンなどで消費電力を極めて小さくすることができる新型トランジスタの製造が可能だという。

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東工大が作製に成功

 東京工業大学 元素戦略研究センターの清水荘雄特任助教らの研究グループは2015年7月、強誘電体の極薄単結晶膜の作製に成功したことを発表した。強誘電体の極薄単結晶膜を作製したのは世界でも初めてだという。開発成果を用いると超高密度メモリや、スマートフォンなどで消費電力を極めて小さくすることができる新型トランジスタの作製も可能だという。

薄さは15nm!

 今回の研究は、清水氏や東京工業大学 元素戦略研究センター兼総合理工学研究科の舟窪浩教授、東北大学 金属材料研究所の今野豊彦教授と木口賢紀准教授らの研究グループが行った。研究グループは、強誘電体膜の組成を状態図から見直し、最適化したY2O3を置換したHfO2を選択するとともに、薄膜を成長させる基材の結晶構造と、その単位格子の長さを工夫した。この結果、15nmまで薄くしても特性が劣化しない強誘電体単結晶膜の作製に成功した。


作製した単結晶HfO2基強誘電体の高分解能像とそのイオンの配列 (クリックで拡大) 出典:東京工業大学 元素戦略研究センター

 この単結晶膜を用いることで、「400℃を超える高温まで、強誘電体相が安定に存在することを世界で初めて明らかにした」と主張する。これにより、強誘電体単結晶膜は広い温度範囲で利用することが可能なことが分かった。


強誘電体のXRD回析強度の温度依存性を示したグラフ (クリックで拡大) 出典:東京工業大学 元素戦略研究センター

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