富士電機が第7世代IGBTのサンプル出荷を開始:インバータ動作時の電力損失をさらに低減
富士電機は、同社として第7世代となるIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)モジュール「Xシリーズ」のサンプル出荷を2015年8月より始めた。従来製品に比べてインバータ動作時の電力損失を低減することが可能となる。
富士電機は2015年8月、同社として第7世代となるIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)モジュール「Xシリーズ」のサンプル出荷を始めた。従来製品に比べてインバータ動作時の電力損失を低減することが可能となる。
IGBTモジュールは、モータ駆動用インバータや無停電電源装置、風力や太陽光発電設備用パワーコンディショナなどの産業用機器に搭載され、省エネや電力を安定供給するためのキーデバイスとなっている。それだけに、省エネや電力コストの節減、装置の小型化を可能とする製品要求が一段と強まっている。
さらに薄型化と微細化
Xシリーズはこれらの要求に応えるもので、内蔵するIGBT素子とダイオード素子について、薄型化と微細加工技術により素子構造を最適化した。これにより同社前世代製品「Vシリーズ」に比べて電力損失を低減し、搭載機器のさらなる省エネと電力コストの節減を可能とする。
さらに、新開発の絶縁基板を用いることでモジュールの放熱性も改善した。素子自体の電力損失低減の効果も含めて、1200V/75A製品ではモジュールの形状を従来に比べて約36%小型化することができた。
連続動作時の最大保証温度も175℃(従来品は150℃)とし、搭載機器の形状を維持しつつ出力電流を最大35%増やすことが可能になるという。その上、モジュールの構造や使用する材料を見直したことで、高温動作時の安定性や耐久性も高めている。
Xシリーズは、耐圧が650V品(定格電流は10〜600A)、1200V品(同10〜1800A)、及び1700V品(同75〜1800A)を用意している。まずは耐圧1200V製品からサンプル出荷を始め、順次650V製品、1700V製品を出荷していく予定だ。
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