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NASA、金星探査ローバー用ICの開発に着手金星の地表温度500℃に耐えるデバイス目指して(2/3 ページ)

金星探査を計画する米航空宇宙局(NASA)は、金星の地表温度500℃に耐えられる半導体の準備に着手した。半導体にとってもかなり過酷な500℃環境でも壊れない半導体を実現する基盤技術開発を任されたのは、米国のベンチャー企業だ。

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高耐熱のセンサー/アクチュエータなども作製へ

 第1フェーズが首尾よく進めば、NASAは第2フェーズでOzark ICのPDKを使用するベンダーを選出する計画だ。選ばれたベンダーは、ローバーのメインプロセッサが格納されるクーラーボックスの外側の高温環境下で稼働するセンサー、アクチュエータ、マイクロコントローラ、その他のチップを作ることになる。

 500℃対応のPDKへのハードルを乗り越えるのに重要となるのは回路基板である。Ozark ICは回路基板に炭化ケイ素(SiC)を用いることにした他、ウエハー上に標準的なシリコンプロセスを用いて、トランジスタをはじめとする素子を製造する。

 しかし、インターコネクトに関しては、アルミニウムでは634℃で溶解してしまうために極めて不安定である上、銅では金星の高い大気圧に耐えられない(平均地表気圧=地球は1013hPa、金星は9万2100hPa )。Ozark ICのHolmes氏は、「金星の環境に適合したICチップの金属膜層を実現できるソリューションを開発した」と主張しているが、当面の間は、このソリューションを企業秘密として伏せていくようだ。

500℃耐熱を実現する技術要素とは

 Mantooth氏は、「500℃に対応可能な半導体チップを実現する上で、重要な要素は何か」とするEE timesの問いに対し、以下のように応えている。

 重要な要素はいくつかある。

 まず1つ目として、極端な温度に耐えることが可能な金属酸化膜半導体をベースとしたプロセスが挙げられる。SiCに、特定の酸化物と金属をどう組み合わせるかだ。

 2つ目は、温度補償の手法を用いて、優れたデバイスモデルを実現することだ。今回、当社が特許を保有している温度スケーリング法を用いて、電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)モデルを温度全域に拡大することにより、極めて高い温度に対してデバイスの性能を予測することが可能になった。それでも、温度変化の大きさを軽減するための技術を用いることで、温度補償を備えたリファレンス設計とバイアス回路を開発する必要がある。こうした高温下では、確実に特性が変化するが、予測される限界の範囲内で回路が動作し続ける場合は、特性を変化させずに維持することが可能だ。

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