顔検出を防ぐ眼鏡、地域に根差す企業で商品化へ:その名も「プライバシーバイザー」(1/2 ページ)
国立情報学研究所は、カメラなどによる顔認識を不能にして着用者のプライバシーを守る眼鏡型装着具「プライバシーバイザー」が、「めがねのまち」を掲げる福井県鯖江市の企業によって商品化されると発表した。地域に根差した企業への技術協力を通じて地場産業の振興に貢献するとしている。
国立情報学研究所(以下、NII)は2015年8月、コンテンツ科学研究系教授の越前功氏らが開発した、カメラなどによる顔認識を不能にして着用者のプライバシーを守る眼鏡型装着具「プライバシーバイザー」が、「めがねのまち さばえ」を掲げる福井県鯖江市の企業によって商品化されると発表した。
NIIは研究成果を社会問題解決のために応用、展開する社会実装に取り組んでおり、今回の地域に根差した企業への技術協力を通じて地場産業の振興に貢献するとしている。
プライバシーバイザーとは?
スマートフォンやカメラ付き携帯電話機の普及に伴い、日常の生活の話題を写真付きで投稿するSNS(Social Networking Service)が人気を博している。その中で、顔認識技術や画像検索技術の進歩により、新しいプライバシー侵害が問題となっている。
それは、本人が意図せずに偶然写り込んでしまった写真がSNSに投稿されてしまうことで、「誰が」「いつ」「どこにいたか」という個人情報が不特定多数の人々に知られてしまう可能性があることだ。
例えば、Facebookは1日約3億5000万枚の写真が投稿されているといわれている。画像認識技術も向上し、カメラ搭載のウェアラブルデバイスを利用すると、写った人の個人情報がリアルタイムで分かるといった可能性も出てくる。
プライバシーバイザーは、顔面に明暗をつくる可視光を反射、吸収する素材をバイザーに貼りつけることで目の周りの明暗の特徴をなくし、顔検出を妨害するという方法を確立した。眼鏡型のため対人コミュニケーションに影響を与えることがなく、電子部品や特殊な材料を必要としないため安価に実装することが可能という。
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