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顔検出を防ぐ眼鏡、地域に根差す企業で商品化へ:その名も「プライバシーバイザー」(2/2 ページ)
国立情報学研究所は、カメラなどによる顔認識を不能にして着用者のプライバシーを守る眼鏡型装着具「プライバシーバイザー」が、「めがねのまち」を掲げる福井県鯖江市の企業によって商品化されると発表した。地域に根差した企業への技術協力を通じて地場産業の振興に貢献するとしている。
チタンフレームを採用
今回、プライバシーバイザーの光を反射・吸収する素材で顔検出を不能にする技術を活用して、眼鏡用資材を扱うニッセイ(福井県鯖江市)が、プライバシーを守るための眼鏡を商品として量産することが決定した。
ニッセイがある福井県鯖江市は、隣接地域を含めた市域で国内の眼鏡フレーム生産の90%以上(「商工業・労働・観光・交通の状況」平成26年度版)を占めており、「めがねのまち」を掲げている市だ。「COOL JAPAN AWARD 2015」(クールジャパン協議会主催)では「鯖江のめがね」が産業のジャンルで受賞している。
従来公開されていたプライバシーバイザーは3Dプリンタを用いた樹脂フレームだったが、同社は量産化にあたって強みであるチタンを使ったフレームを採用した。軽い一方で強度が強いチタンの特性を生かし、通常の眼鏡に比べて湾曲が大きいプライバシーバイザーのフレーム形状に対応している。
フレームにチタンを採用して量産化することで金型や治具、加工費などのコストが高くなるため、同社は鯖江市が運営しているクラウドファンディング事業「FAAVOさばえ」を活用して製作費の一部を調達。商品化事業に投資した支援者には、支援金額に応じて初回限定モデルやチタン加工技術を生かした記念品などが提供されるという。
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