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マイコン市場、価格崩壊に苦しむ32ビットマイコンへの需要は高いものの

IoTの台頭などで、特に32ビットマイコンへの需要が高まる一方で、マイコンの平均販売価格(ASP)は下落の一途をたどっている。IC Insightsが報告している。

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 市場調査会社のIC Insightsによると、エレクトロニクス企業がIoT(モノのインターネット)向けに新製品を発表する中、マイコンの出荷個数は大幅に伸びているという。だが、かつてないほどの価格崩壊により、マイコンベンダーの売り上げはわずかな増加にとどまっている。

 IC Insightsの報告書「The McClean Report」の最新版によると、マイコンの出荷個数は2015年に33%増加し、254億個に達する見込みだという。その要因として、主にICカード(スマートカード)や32ビットマイコンを使う用途向けの出荷が急激に増えたことが挙げられる。マイコンの市場規模は、過去最高の166億米ドルに達する見込みだが、その増加率は前年比で4%だという。

 IC InsightsのシニアアナリストであるRob Lineback氏は、Eメールのやり取りの中で、「今後成長する市場であるIoT向けに、サプライヤーが低価格化を競っているため、マイコンの平均販売価格(ASP)は下落している。中でも32ビットマイコンの下落幅は最も大きい」と述べている。

安価なIoT機器がプレッシャーに

 Lineback氏は「IoT向けの32ビットマイコンでは、サプライヤーに対して、大幅に価格を下げるよう圧力がかけられている。IoTのアプリケーションでは、通信用チップやセンサーなど、搭載する半導体のコストが合計で3〜4米ドルとされている。ウェアラブル端末や無線センサーノード、その他のIoT向け組み込み機器の台頭が、マイコンの価格を押し下げている」と述べた。

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マイコンの市場規模(青)、出荷個数(ピンク)と、平均販売価格(棒グラフ)の推移。予測値を含む(クリックで拡大) 出典:IC Insights

 IC Insightsは、マイコンの価格は下落し続けると予測している。同社は、「2015年には、1個当たりの価格が前年比21%減となる65米セントにまで下がる」と見込んでいる。さらに、2016年には、2015年比で約14%下落するとみている。IC Insightsによると、マイコンの価格は、2014年にも前年比で約12%減少しており、83米セントに落ち込んでいたという。

 一方で、IC Insightは2016年のマイコンの市場規模は、前年比7%増となる177億米ドルに達し、出荷個数は同25%増の316億個に伸びるとみている。

32ビットマイコンの需要高く

 IC Insightは、マイコンの出荷個数は、2014年にICカード用の低価格マイコンの出荷に大きく動かされる形で急速に伸び始めたと述べた。同社によると、ICカード用マイコンの出荷個数は2014年に26%増加したが、2015年はさらに41%伸びて129億個に達すると見込みだという。

 The McClean Reportの中間アップデートでは、2019年までのICカード用マイコンの出荷個数予測が上方修正された。IC Insightsによれば、32ビットマイコンのニーズが高いという。IoT関連に採用されるマイコンの売上高は、2015年には前年比で16%増となる4億500万米ドルに、出荷個数は同40%増となる4億3100万個になると予測されている。

【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】

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