5Gでは、高速通信とクラウドの組み合わせが鍵に:Intelが描く次世代移動通信(2/2 ページ)
Intelは「IDF 2015」で、5Gのコンセプトを紹介した。Intelは、5Gでは高速通信とクラウドコンピューティングの組み合わせが鍵になるとしている。ネットワーク開発者向けのプログラム「Network Builders Fast Track」も併せて発表した。
SDNやネットワーク仮想化が鍵
基調講演では、世界の大手キャリアの代表者を集めてパネルディスカッションを行い、「5Gに何を期待するか」をテーマに討論を行った。パネリストとして、韓国SK TelecomのICT R&D部門でエグゼクティブバイスプレジデントを務めるAlex Choi氏、Verizonの戦略担当バイスプレジデントであるBin Shen氏、Ericssonのコーポレートストラテジー部門でバイスプレジデントを務めるPaul McNamara氏などが参加した。
パネルディスカッションに先立ち、Intelのデータセンター担当バイスプレジデントで、IoT(モノのインターネット)部門のゼネラルマネジャーでもあるSandra Rivera氏が、5Gがユーザーにもたらす利点を語った。
Rivera氏は、「500億個ものデバイスがインターネットにつながり、遅延が1ミリ秒未満のアクセスを得られるようになる。基地局をより“スマート”にすることで、通話や映像が途切れることもなくなるだろう」と話した。さらに、“シームレスな5Gソリューション”を実現するには、ソフトウェア定義ネットワーク(Software Defined Network:SDN)やネットワーク仮想化が鍵になると述べた。
ネットワーク開発を加速する「Network Builders Fast Track」
Rivera氏は基調講演で、ネットワーク開発者向けのプログラムである「Network Builders Fast Track」を発表した。SDNやネットワーク仮想化を加速させるものだという。
一方、パネリストたちは、彼らの5Gに対する主な興味は「速さ」にあると話した。5Gでは、1ミリ秒以下という低遅延が要件として挙げられている。
交通からスマートシティ、農業、教育、ヘルスケアなどさまざまな分野において5Gを促進するのは、IoTになるだろう。
Intelは現在、Nokia Networks、NTTドコモ、SK Telecomなど複数のメーカーと提携して5Gの実現に取り組んでいる。例えば、SK Telecomとは、独自の「Anchor-Booster Cell(アンカー・ブースター・セル)」のデモを披露している。Anchor-Booster Cellは、LTEネットワークとWiGigを組み合わせて大量のデータを送信する技術だ。さらにIntelは、5Gの実用化を促進する欧州の団体「5GPPP(5G Public-Private Partnership Association)」をはじめ、多くの研究プロジェクトにも参画している。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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