IntelのAltera買収、その行方は?(前編):M&Aでは“黒歴史”も持つIntel(1/3 ページ)
2015年6月に、Alteraを167億米ドル(約2兆円)で買収すると発表したIntel。業界には、IntelによるAltera買収の行く末を懸念する声も出ている。M&Aでは失敗事例も多いIntelだが、Altera買収に対する業界からの懸念は何としても払しょくしたいところだろう。
Intelは2015年6月に、Alteraの買収を発表した。買収後のAlteraの運命は誰にも分からない。買収の発表以降、Alteraの社員は不安な日々を送っていたはずだ。同社のプログラマブルロジックデバイスには定評があるが、これらの技術や製品ロードマップの行方も気になるところだ*)。
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Intelは細心の注意を払って統合を進める構えで、現時点では慎重な姿勢を維持している。同社は、Altera買収に関連する「カスタマーFAQ(Frequently Asked Questions)」で、Alteraの既存のFPGA事業を完全にサポートし拡大していく計画と、AlteraのARMベースの製品ラインのサポートと開発を継続・拡大していく意向を表明している。
こうした策を講じているにもかかわらず、IntelによるAltera買収に対しては、Alteraの内外ともに懐疑的な意見が多い。
Altera内部では、不安の声が非常に高まっているといわれている。業界では、新しいポジションを求めて自らを売り込もうとするAltera社員の履歴書が飛び交っているという。
こうした反応は、買収を控えた企業の社員にはよく見られることだ。特に2015年の半導体業界では、かつてないほど多くのM&Aが世界的に実施されている*)。
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業界アナリストやエンジニアは、IntelがAlteraをつぶしてしまうことを最も懸念している。最悪の場合、Alteraの技術や製品、同社のエンジニアの才能が埋もれてしまう可能性もある。
これは、考え過ぎだろうか。
中には、IntelにM&Aの成功例が乏しいことを指摘して、不安を募らせる観測筋の声も聞かれる。彼らの脳裏には、最悪の事態に陥った、Intelの過去の買収の記憶が焼き付いているのだろう。
だが、アナリストの多くは、PCを中心に据えるIntelの事業構造を非難しているだけだ。Intelは、世界最大の半導体企業でありながら、何十年間もこの構造から脱却できなかった。一方で、「Intelはソフトウェア会社の買収では成果を上げている。だが、半導体ベンダーの買収に関しては、買収した企業を統合する能力を持ち合わせていないのではないか」と指摘する声もある。
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