3D XPointから7nmプロセスまで――Intel CEOに聞く:Intelは今、何を考えているのか(3/3 ページ)
2015年8月18〜20日に開催された「IDF(Intel Developer Forum) 2015」において、Intel CEOのBrian Krzanich氏にインタビューする機会を得た。新メモリ技術として注目を集めた「3D XPoint」からAltera買収まで、率直に話を聞いてみた。
EUV露光技術の導入は
EE Times ASMLがEUV露光装置を15台受注したようだが、納品先はIntelなのか。
Krzanich氏 (少しの間沈黙し)どこかが大量に購入したようだ。
EE Times GLOBALFOUNDRIESは、「Semicon West」(2015年7月14〜16日、米国サンフランシスコ)で、液浸リソグラフィを使う7nmプロセスを開発していると話していた。同社はいずれEUV露光も導入するようだ。7nmでEUV露光を導入することに対する自信は。
Krzanich氏 4〜5年先の話になるので、自信を持つことは常にリスクにもなる。われわれはバックアップとなる技術を持っているので、液浸リソグラフィを使い続けることは可能だ。問題は、マルチパターニングの回数と、それに関連するコストだ。コスト増加を相殺するには、微細化が必要になる。費用曲線の傾きを変えないための1つの方法でもある。他のメーカーもこの点で苦慮している。われわれは、微細化を強く推進してきた。
当社は、10nm世代にはEUV露光技術が間に合わないだろうという想定の下に、10nm向けの微細化技術を定義した。さらに、われわれは微細化を進めていかなければならない。7nm世代でEUV露光技術を導入できるかどうかを判断するには、あと1年はかかるだろう。
ファウンドリビジネスは
EE Times ファウンドリ事業の責任者であったSunit Rikhiが退職したが、その後のファウンドリビジネスについては教えてほしい。
Krzanich氏 ファウンドリ事業は好調だ。新しい顧客も獲得している。Alteraも顧客の1社だ。われわれと提携している多くの顧客企業は、製品を市場に投入する準備が整うまでは何も発表したがらない。彼らには他のファウンドリとの関係もあるからだ。
EE Times 製造工場「Fab 42」(米国アリゾナ州チャンドラー)の状況は。
Krzanich氏 稼働の準備が整っている。ただ14nmプロセス製品は製造しないだろう。約1年後に、10nmプロセス品をどの工場で製造するかを決める予定だが、その時にFab 42で何を製造するかが決まるだろう。
中国でのビジネス
EE Times 中国でのビジネス展開はどうか。大連の工場は稼働していない。Spreadtrum Communicationsに投資をしているが、これについてどう考えているのか。
Krzanich氏 中国のことは、工場、研究開発拠点、パートナー企業で構成される“完全なエコシステム”だと考えている。これらの要素全てを健全に成長させなくてはならない。Spreadtrum CommunicationsやRockchipに投資することで、アーキテクチャやIP(Intellectual Property)を集結させ、中国市場で優れた製品を開発したいと考えている。
Altera買収について
EE Times Alteraの買収について何か新しい情報はあるのか。業界からは、「Alteraの売上高は、買収金額に見合わない」という声も聞かれるが。
Krzanich氏 買収完了までにはあと6カ月〜9カ月かかる見込みだ。
Altera買収の理由は3つ挙げている。同社の中核であるFPGA事業の成長にムーアの法則を使えること。サーバ市場での成長を加速できること。そしてIoT分野での成長を見込めること。サーバ市場でもIoT市場でも、考えていることは同じで、CPUの隣にFPGAを配置し、処理速度を上げることである。とりわけIoT分野での成長機会は大きい。
【翻訳:青山麻由子、田中留美、編集:EE Times Japan】
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