京セラは2015年8月29日、日本インターに対する株式公開買い付け(TOB)が成立したと発表した。京セラは、日本インターの発行済み株式の69.33%を取得し、子会社化する。買い付け決済日は同年9月4日。
京セラは同年7月31日〜8月28日の期間で、TOBを実施。買い付け金額は、普通株式1株当たり197円、優先株式1株当たり464円。TOBに際し、日本インターの大株主である産業革新機構(所有割合35.19%)や横浜銀行(25.84%)と、TOBに応募することで合意していた。買い付けの結果、普通株式4011万2700株、優先株式2146万1524株(普通株式換算)の応募があり、日本インターの発行済み株式の69.33%を取得することになった。
2011年の債務超過から回復
日本インターはダイオードなどのディスクリート半導体事業や、パワーモジュール事業などを展開。ダイオード製造では大口径となる8インチウエハーでの製造などにいち早く着手していた。しかし、2008年のリーマンショック前後から、売上高が大幅に減少し、8インチウエハーラインへの投資なども重荷になり、2009年3月期に約56億円、2010年3月期に約92億円の純損失を計上。2011年3月期末には債務超過に陥り、「産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法」に基づく、事業再生ADR制度を申請。その後、同制度による救済や、中国の半導体組立専門メーカーであるNingbo Mingxin Microelectronicsへの第三者割当増資などにより、債務超過を解消。さらに、2010年12月に、産業革新機構への第三者割当増資を実施し、事業の再構築、収益改善に取り組んできた。
その結果、2014年3月に事業再生ADR制度による債務の弁済を完了し、2015年3月期には営業利益約11億円、純利益約4億6千万円を計上するまでに業績を回復。これを受け、出資者である産業革新機構は、日本インター株の譲渡先を模索し、複数の候補先の中から、半導体パッケージ基板を手掛け日本インターとのシナジーが見込まれることなどから京セラと合意し、京セラによるTOBに至った。
ブランドと経営の自主性は維持
京セラは、買い付け完了後、日本インターを上場連結子会社とし、ブランドと経営の自主性を維持、尊重しつつ、生産管理のノウハウや販路/販売インフラを共有し、商品開発や調達、物流などでの業務提携を実施していく方針。
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