ADAS普及で車載センサー市場は2020年3兆円超に:2014年の1.4倍!
矢野経済研究所は、車載用センサー市場についての調査結果を発表した。調査結果によると、2014年の車載用センサーの世界市場規模は、パワートレイン向けやADAS向けセンサーの市場が堅調に伸び、前年比26.8%増の2兆2543億円となったという。パワートレイン向けセンサーとADASの普及拡大が今後も期待され、2020年には同市場規模が3兆1487億円に達すると予測している。
センサーフュージョンが中心に
矢野経済研究所は2015年9月1日、車載用センサー市場についての調査結果を発表した。調査結果によると、2014年の車載用センサーの世界市場規模は、パワートレイン向けやADAS(Advanced Driver Assistance System:先進運転支援システム)向けセンサーの市場が堅調に伸び、前年比26.8%増の2兆2543億円に拡大したという。
車載用センサーの世界市場は今後も年平均成長率(CAGR)5.7%を維持し、2020年に3兆1487億円に達すると予測。環境規制、燃費向上に向けたパワートレイン向けセンサーの需要拡大、日本、米国、欧州と中国市場におけるADASの普及拡大が続くという。
特にADAS向けセンサーは、検知精度向上や多機能化により、複数個のセンサーを搭載するセンサーフュージョンが中心になり、車両1台あたりに搭載するADAS向けセンサーの数量が増加する。車両前方に加え、車両側面/後方でのセンサー搭載も増える見込みで、2014〜2020年までのADAS向けセンサー世界市場のCAGRは20.5%。2020年の同市場規模は9094億円に達すると予測している。
日本国内でもADASの普及拡大へ
2015年における車載用センサーは、前年比5.9%増となる2兆3871億円に増加すると予測されている。ADAS向けセンサーは、2015年に前年比36.6%増の4062億円に拡大すると予測されている。
ADAS向けセンサーが2015年に拡大する要因は、2016年にEuro NCAP(European New Car Assessment Programme:欧州の安全性能評価基準)で歩行者保護が評価項目に加わることを受け、歩行者を検知できるADAS用カメラ(センサー)の採用がドイツ自動車メーカーを中心に進んでいることが挙げられている。2015年は、トヨタ自動車の「Toyota Safety Sense」、本田技研工業の「HONDA SENSING」など国内自動車メーカーによるADAS搭載も進展し、国内におけるADASの普及も進むという。
2014年 | 2015年予測 | 2020年予測 | 年平均成長率(%) | ||
---|---|---|---|---|---|
パワートレイン | 9129 | 9163 | 10082 | 1.7% | |
シャーシ/セイフティ | 6714 | 6835 | 7648 | 2.2% | |
ボディ | 3625 | 3671 | 4078 | 2.0% | |
ADAS | 2973 | 4062 | 9094 | 20.5% | |
HV/EV | 102 | 140 | 585 | 33.8% | |
合計 | 22543 | 23871 | 31487 | 5.7% | |
前年比 | 126.8% | 105.9% | - | - | |
出典:矢野経済研究所 |
同調査は、矢野経済研究所が2015年4〜7月にかけて実施。調査対象はカーエレクトロニクスメーカー、半導体メーカー、電子部品メーカーなどである。調査方法は、同社専門研究員による直接面談、電話・電子メールによるヒアリングや文献調査の併用としている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- CMOSセンサー、2019年には150億ドル規模に
CMOSイメージセンサー市場が好調だ。これまではスマートフォンのカメラ向けが多くを占めていたが、車載やセキュリティ、ゲームなど用途が拡大していることで、2019年には150億米ドル規模になるとみられている。 - 拡大する車載カメラ市場、裏面照射型CMOSイメージセンサー投入でシェア堅持へ
ON Semiconductor(オン・セミコンダクター)は、車載ADAS(先進運転支援システム)/ビューイングカメラ向けに、同社としては初めてとなる裏面照射(BSI:Back Side Illumination)型CMOSイメージセンサーを発表した。 - フリースケール買収のNXP、車載半導体で首位ルネサスに肉薄か――世界半導体シェアは7位へ
NXP Semiconductors(以下、NXP)がFreescale Semiconductor(以下、フリースケール)を買収することになった。買収後のNXPの売上高は1兆円を超える規模に達し、世界シェア7位、車載半導体では首位ルネサス エレクトロニクスに匹敵する売り上げ規模となる。 - NEDOの考える“本当に使えるセンサー”
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)とNMEMS技術研究機構(以下、NMEMS)は2015年2月4日、「グリーンMEMS(微小電気機械システム)センサー」を開発し、同センサーを用いたエネルギーマネジメントシステムの実証実験を行った結果、10%以上の省エネ効果を確認したと発表した。