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ナノインプリント開発の進展状況をキヤノンが講演(3)〜生産性と欠陥密度:SEMICON West 2015リポート(10)(2/3 ページ)
ナノインプリント・リソグラフィでは、ウエハー1枚当たりの処理時間を短縮しようとすると、欠陥密度が増加する傾向にある。だが要求されるのは、生産性の向上と欠陥密度の低減だ。キヤノンは、こうした“二律背反”の要求に応えるべく、リソグラフィ技術の改良を重ねてきた。
欠陥密度を3年間で100分の1以下に低減
前回で説明したように、キヤノンは近年、ナノインプリントの生産性を大幅に向上させてきた。そして同時に、欠陥密度を大幅に下げてきた。
2012年には、欠陥は1cm2当たりに1200個もあった。それを2013年には、5分の1以下の220個と大きく低減させた。マスク洗浄後の放置時間を短縮したり、レジスト滴下パターンを改良したりといった改良を加えた結果である。
昨年(2014年)には、1cm2当たりでわずか9個にまで欠陥を減らすことができた。化学物質中の汚染粒子密度を減らす、レジストの剥がれを防止するといった改良を実施した結果である。
またウエハー表面の微小な汚染粒子(パーティクル)の数も、ここ3年ほどで急速に減らしてきた。2012年前半にはウエハー1枚にパーティクルの数が100個あったのが、同年の後半には10個に減少した。続く2013年には0.4個〜0.1個と減少し、1個未満になった。2014年には0.02個〜0.01個にまで減少した。
ウエハー表面のパーティクルは、テンプレートを劣化させる。パーティクルの低減がテンプレートの寿命を延ばすことになる。
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