アジア固体回路会議「A-SSCC2015」プレビュー:最先端半導体技術をアジアから発信(3/3 ページ)
2015年11月9〜11日に中国・厦門(アモイ)で開催される「A-SSCC 2015」の概要が明らかになった。IoT(モノのインターネット)社会を具現化していくための集積回路技術などに関する最新の研究成果が発表される。今回のテーマは「ハードウェアセキュリティ」である。
基調講演にルネサスCTO
基調講演は、4つの講演が予定されている。会期2日目となる11月10日は中国SpreadtrumのCEOを務めるLeo Li氏が「IC Challenges for 5G Mobile Devices(5G移動体通信機器向けのICの挑戦)」、米国Rambusのセキュリティフェローを務めるRonard Perez氏が「Silicon Systems Security and Building a Root-of-Trust(シリコンシステムの安全策と真正性の確立)」というテーマで講演する。翌11日には、ルネサス エレクトロニクスのCTOを務める日高秀人氏が「Mobility and IoT Systems Revisit Semiconductor Technology(移動体とIoTシステムと半導体技術の再評価)」、韓国Samsungのバイスプレジデントを務めるSang Yeun Cho氏が「Fast Memory and Storage Architectures for the Big Data Era(ビッグデータ時代の高速メモリ・記憶アーキテクチャ)」というテーマでそれぞれ講演する。
5人の専門家が「ハードウェアセキュリティ」について語る
A-SSCC 2015で特に注目を集めそうなのが、前述の招待講演セッションである。会期2日目(11月10日)に予定されている。IntelのRam Krishnamurthy氏による「Energy Efficient Security Circuit Technologies for the Sub-14nm Era: Challenges and Opportunities(高電力効率セキュリティチップ)」、中国Nanjing University of Aeronautics and AstronauticsのYang Li氏による「Review Fault Attacks on ECC Implementations with Fault Sensitivity Analysis(ECCの故障攻撃耐性)」、シンガポールNanyang Technological UniversityのShivam Bhasin氏による「A Practical Comparison of Hardware Trojans Detection & Prevention Techniques(ハードウェアトロイの木馬検出と防止策)」、三菱電機の菅原健氏による「Recent Results of Dopant-Based Circuit Camouflage Technique(最新の暗号回路隠匿技術)」、そして横浜国立大学 松本勉氏が「Prospect and Future Direction of Hardware Security(ハードウェアセキュリティの見通しと方向性)”と題して、それぞれの専門分野から講演してもらう。
製品よりの技術論文も
この他、より製品に近い技術論文が発表される「インダストリ・プログラム」や、採択された学生論文の中から、口頭発表に加えてデモを競う「学生デザインコンテスト」も行われる。インダストリ・プログラムでは、これまで主体だったSoCを構成するための要素技術に代わり、今回はポータブルに環境や人体情報をモニターする機器など、アプリケーションを指向したセンサー関連の技術論文が目立つ。具体的には、TSMCが「16nm FinFETを用いた電源回路」、シャープが「極低雑音で24ビット解像度を有するセンサー向けアナログフロントエンド回路」、MediaTekが「圧縮センシング技術を応用した心電図取得向けアナログフロントエンド」などを発表する。
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