ドイツのメモリ新興企業、SEMICON Europaに登場:破産したQimondaの“遺伝子”を引き継ぐ
2015年10月に開催される「SEMICON Europa 2015」に、ドイツのメモリ新興企業であるFerroelectric Memory Company(FMC)が出展する。FMCは、2009年に破産申請したドイツのQimonda(キマンダ)の研究をベースにしていて、現在、ドレスデン工科大学からスピンオフするための手続きを行っているという。
酸化ハフニウム(HfO2)をベースとした強誘電体不揮発性メモリ技術の開発を手掛ける新興企業Ferroelectric Memory Company(FMC)が、ドイツ・ドレスデンで2015年10月6〜8日に開催予定の「SEMICON Europa 2015」に登場する予定だ。
FMCは現在、ドレスデン工科大学(TU-Dresden:Technical University of Dresden)のNaMLab(Nano-and Micro Laboratory)からスピンオフするための手続きを行っているさなかだ。FMCのCEO(最高経営責任者)を務めるStefan Mueller氏は、EE Times Europeの取材に対し、「現在の社名は“Ferroelectric Memory Company(FMC)”だが、正式な企業として設立/登録する際には、この名前を変えるかもしれない」と述べている。
Qimondaの研究を引き継ぐ
NaMLabはこれまで、シリコンをドープした酸化ハフニウム薄膜の強誘電効果に関する研究に取り組んできた。その成果として設立したのがFMCだ。NaMLabが行ってきた研究はもともと、DRAMメーカーQimonda(2009年に破産申請)のTim Boeske氏の研究をベースにしている。酸化ハフニウムを適切に調合すれば、強誘電性を発現できるとするものだ。酸化ハフニウムは、高誘電率膜(High-k)の絶縁材料としても知られる。
FMCは、NaMLabが研究成果を実用化していくために設立した企業だ。このためFMCは、公的資金を受けたプログラムを引き継ぎ、2015年4月〜2016年9月の間に50万ユーロ(約6800万円)の資金提供を受ける予定である。Mueller氏によると、FMCに所属する小人数のエンジニアグループは現在、初期投資を受けられるようパートナー企業を探している最中だという。
FMCは、チームメンバーたちがNaMLabで行っていた研究を拡大しようと取り組んでいる。同氏は、「これまでに実現した100ビットを、周辺回路と合わせて1K〜1Mバイトのアレイにまで拡大していきたい。2016年には、28nm CMOSプロセスを適用したマルチプロジェクトウエハー(MPW)によってそれを実現できると考えている」と述べる。FMCは既に、ドレスデンにウエハー工場を持つGLOBALFOUNDRIESとの間で、密接な協業関係を構築しているという。
Mueller氏は、「ハフニウム(Hf)をベースとした強誘電体メモリのメリットとしては、他の技術を用いた不揮発性メモリと比べて、ビット当たりのスイッチングのエネルギーが低く、ビット当たりのコストも少ないことが挙げられる。また、現時点での読み出し/書き込みサイクルは10万回だが、さらなる改善を見込んでいる」と述べている。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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