部分痩せは可能なのか? (後編):世界を「数字」で回してみよう(20) ダイエット(2/9 ページ)
後編では、「部分痩せ」について、かなり突っ込んだ検証をしてみたいと思います。そもそも、体のある特定の部位だけ、『脂肪の増加方向と減少方向に異なる加速度が生じる』ことがあり得るのでしょうか。今回はこれについて、数字を回しまくってみました。
「部分痩せ」は、物理的に不可能
こんにちは。江端智一です。
今回は、このダイエット連載が始まって以来、(私にとって)最大の難問である、「部分痩せ」と「順番痩せ」について検討します。
前編と同様に、
- 「部分痩せ」とは、「自分の努力によって、体の一部位(ウエストなど)だけを減らすこと」
- 「順番痩せ」とは、「ダイエットやリバウンド時に、自然現象として、バスト、ウエスト、ヒップの痩せ方、または太り方に順番が存在すること」
と定義します。
また、混乱を避けるために、今回は「胸」という言葉は使わず、胴回りを含む胸囲のことを「バスト」というものとして、「乳房」と区別するものとします(「乳房」は「ブレスト」にしようかとも思ったのですが、ここはあえて、直球勝負で行きたいと思います)
前編では、読者の皆さんから頂いたアンケート結果から、
- 女性の「『部分痩せ』の可否」や「『痩せる部位の順番』の有無」に対する見解は、ちょうど半々くらいである。
- 比して、男性の「『部分痩せ』に対する興味は皆無である。
という結果を得ています。
しかし、私の基本的な考えは、
―― 「部分痩せ」は、物理的に不可能である
です。
最初に、なぜ、私がそのように考えるに至ったかを説明します。
まず、肥満のメカニズムを見てみましょう。
(Step.1)体内の液体の作用で、肉や魚が脂肪酸に、御飯、パン、蕎麦などの炭水化物はブドウ糖に変化して、小腸から吸収されます。
(Step.2)脂肪酸やブドウ糖は血液に溶けて(ガソリンのような液体エネルギーになって)、体中を巡り、私たちが体を動かすエネルギーとなります。
(Step.3)しかし、その液体エネルギーを全て使い切らなければ、脂肪に変化して、全身に蓄えられます。「血液が贅肉を全身にバラまいている」わけです。
「部分痩せ」とは、「川の上流でガソリンを流して、川の中流で、真水だけを取り込む」ようなものです。
―― そんなこと、普通に考えて、できるわけないよね
って、思いませんか?
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