「LTE-UとWi-Fiは共存可能」、Qualcommが実験:Wi-Fi Alliance側は懸念を表明も(2/2 ページ)
アンライセンス周波数帯を活用したLTE通信、いわゆるLTE-Uへの取り組みが進められている。だが、Wi-Fi Alliance側の懸念は増すばかりのようだ。そのような中、QualcommがLTE-UとWi-Fiが共存可能なことを実証実験で示した。
LTE-Uは、Wi-Fiの代替技術ではない
Qualcommのエンジニアリング/コーポレート研究開発部門でバイスプレジデントを務めるMingxi Fan氏は、「LTE-Uは本質的にWi-Fiと親和性が高い」と述べる。
Fan氏は、「LTE-Uが導入されれば、LTE-Uにデータなどをオフロードするために、スモールセルや改良されたエアーインタフェースへの依存度が高まると予想される」と述べている。さらに同氏は、「Qualcommは、モデムの変数や使用中に生じるわずかなバンドギャップに対応できるようにLTE-Uチップを設計しているため、チャネルに干渉が発生することなく低遅延の通信を実現できる」と説明した。
Qualcommの政府業務担当シニアバイスプレジデントを務めるDean Brenner氏は、「LTE-Uは、顧客に性能面で大きなメリットをもたらし、Wi-Fiとも共存できる素晴らしい技術だ。Wi-Fiの未来にとって必要な技術であり、Wi-Fiの代替技術では決してない」と述べている。
Wi-Fi Allianceは最近、LTE-UとLicensed Assisted Access using LTE(LAA)について、より多くの情報を公開するよう米国連邦通信委員会(FCC)に要求した。LAAは、3GPPのリリース13に盛り込まれている要素である。Wi-Fi Allianceなどの団体は、LTE-UやLAAが、Wi-Fiのサービスの質を低下させるのではないかと懸念している*)。
*)関連記事:アンライセンス周波数帯をめぐる対立、深まる溝
Brenner氏は、「競合は、LTE-Uに対して多くの懸念を抱いているが、当社はこうした懸念を払しょくすべく、さまざまな取り組みや実証実験を行っている」と話した。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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