SoC設計で極めて重要なIP品質をどう評価するか:“7つの検証レベル”を解説(2/3 ページ)
IPの品質は、サードパーティー製IPを使用するSoC設計チームにとても大切です。しかし、新しいIPを使用するときは、どの顧客もある程度のリスクトレードオフがあります。リスクを最小限に抑え、開発期間をできるだけ短縮したいなら、IPを“7つの検証レベル”で評価しなくてはなりません。
高品質の実現には時間がかかる
コンフィギュラビリティの初期コストはSoC納入への潜在的影響に比べれば小さいため、顧客の信頼を得るためにはプロセス、プロシージャ、時間、経験のプルーフを示すことが重要です。また、何か新しいものの技術的メリットは、機能、品質、納入スケジュールへの潜在的リスクをはるかにしのぐものでなくてはなりません。強いIP企業を築くのに約10年もかかる主な理由はここにあります。
プロバイダーは製品を作る必要があるだけでなく、それを十分に広範なアプリケーション群に合わせて設計する必要があります。そして顧客はSoCをスムーズに納入し、システムハウスにチップを組み込ませる必要があります。最後に、顧客は十分な数量のSoCを納入して、品質がシステムハウスの事業に良い影響を与えることを証明しなくてはなりません。そうしてはじめて、品質の価値を正しく数量化できるのです。
このプロセスで、IPベンダーは主な技術変更と特定の顧客要求に対応していきながら、強力なサポートと高い品質を維持しなくてはなりません。これは簡単なことではありません。ですからARM、Synopsys、Imagination、Tensilica、Arterisなどの成功企業で短期間に築かれた企業は1つもありません。それは、製品が7つの検証レベルと生産量で成功を収めるのに時間がかかるからです。
調達vs自社開発
これらの検証レベルを実現するために、コンフィギュラブルIPのベンダーはさまざまなシステムに実装されている広範なSoC設計を経験する必要があります。それが結果として、自社開発の実現よりも、より高品質な製品につながることが理想です。大手半導体企業以外の社内インターコネクトグループにとってこのレベルの品質を実現することが難しいのは、社内チームは比較的少ない設計と狭い範囲の設計メソドロジに焦点を当てているためです。
経験則:多様性と優れたシステムデザインインの数が多いほど、品質とコンフィギュラビリティの価値が上がります。
相互運用性とエコシステム
コンフィギュラブルIPはSoCを構成する多数のコンポーネントやサブシステムの1つにすぎません。したがって、その周辺のエコシステムが極めて重要です。他の部分へのインタフェースをテストし、相互運用性を保証する必要があります。
例えば、ARMのAMBA規格は最も広く採用されるようになるに従い、ベンダーはトラブルフリーのカスタマーインテグレーションを実現するためにARM標準開発のストリームを監視・実装することが重要になりました。
また顧客はさまざまなEDAツールやメソドロジを使用しており、スムーズな相互運用性を確保するにはこれらをコンフィギュラブルIPと共にテストする必要があります。顧客は設計に注力したいのであって、相互運用性の問題で脇道にそらされる必要はありません。
シームレスな統合が、関係する全てのIPの使用を加速させるため、エコシステムのテストおよび検証を行うことは全関係者にとって最善の利益につながります。ベンダーはこれを、相互運用性問題が開発スケジュールに影響を及ぼし始める前のプロセスの早い時期に終えておく必要があります。
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