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STマイクロの車載マイコン、PowerからARMv8-Rへ今後10年以内にシェア3位を目指す(2/2 ページ)

STMicroelectronics(STマイクロエレクトロニクス)は、車載マイコン市場でのシェア拡大を目指すべく、同社の車載向けマイコンコアを、従来の「Power Architecture」から「ARMv8-R」に移行していく考えだという。

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コアの開発コストは増加の一途をたどる

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STMicroelectronicsの車載用8ビットマイクロコントローラ「STM8AF」

 Duncan氏は、STMicroelectronicsがARMv8-Rを選んだ理由について問われると、「コア開発コストの高騰」を挙げた。

 同氏は、「当社はこれまで、パートナー企業を探し求めてきた。Freescaleとの間で2006年に協業関係を築いたことにより、大きな成功を収めることができた。しかし、当社の車載事業部門の15年先を見据えた時、長期にわたって安定した高性能コアが不可欠だとの判断に至った。この先、独自開発コアだけで前進していくことは非常に難しいと気付いたためだ」と語った。

 また同氏は、「かつてエンジニアは、Motorolaのマイコンコアを使いさえすれば解雇されることはないとされていた。現在では、それがMotorolaではなくARMに置き換わったというだけで、一般的な考え方だといえる」と述べる。

 STMicroelectronicsは、ARMv8-Rのどこを気に入ったのだろうか。

 Duncan氏は、「ARMのアーキテクチャは非常に効率的で、スループットも高い。さらにベンチマークについても、これまで見たことがないような極めて高い性能レベルを実現している」と述べている。

 またSTMicroelectronicsにとって、ARMv8-Rのロードマップも魅力的だったようだ。Duncan氏は、「詳細については語れないが、ロードマップの中には、非常に興味深いコアが他にもいくつかあった」と語っている。

 同氏は、「新しい自動車に搭載されるさまざまな新機能の中で最も懸念されるのが、コネクテッドカーのセキュリティだ。STMicroelectronicsはハードウェアのセキュリティを手掛けているため、ARMコアに独自のセキュリティファームウェアを搭載する予定だ」と述べている。

現在は6位

 STMicroelectronicsは、今後数年間で、車載マイコン市場におけるシェアを伸ばすことに高い優先度を置いている。

 米国の市場調査会社であるIHSの車載市場分析(Automotive Competitive Landscaping Analysis)によると、STMicroelectronicsは、2014年第3四半期の車載マイコン市場において6位についている。ルネサス エレクトロニクス、Freescale Semiconductor、Infineon Technologies、Texas Instruments、Spansionに次ぐ順位となる。

 Duncan氏によると、車載マイコン市場に新たに参入するメーカーにとっては、増加の一途をたどる開発費が大きな障壁になっているという。既に同市場に参入しているメーカーにとっても、開発コストの増加は課題となっていて、車載向けに多様な製品をそろえるのは難しい。そんな中、FreescaleはPower ArchitectureベースからARMベースまで、さまざまな車載マイコンポートフォリオを維持している。ただ、Freescaleの場合、ARMコアは「Cortex-A」シリーズか「Cortex-M」シリーズを採用していて、「Cortex-R」シリーズは使用していない。Freescaleの広報担当者にARMv8-Rアーキテクチャについて尋ねると、「(同アーキテクチャを採用しても)まだ当社が求める性能を出せない」と答えた。ただし、今後その性能が上がっていくとみている、と付け加えた。

【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

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