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次世代パワー半導体ではシミュレータが不可欠にSiC/GaNだけでなく新世代パワーMOSFETでも(2/2 ページ)

SiC/GaNを用いた次世代パワー半導体を使うパワーエレクトロニクスの設計において、シミュレータを使うという新しい動きがある。これまでは“ノウハウ”で乗り切れていたが、次世代パワー半導体ではノイズなど無視できない問題が顕著になってきたからだ。

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モデルがない

 シミュレータを使うことは、パワーエレクトロニクス分野にとっては新しい動きだ。それ故、計測器側での課題もある。その1つが、シミュレーション用モデル(=シミュレータに入れる情報)がそろっていないことだ。高周波の分野では、当たり前のようにモデルが出されているが、次世代パワー半導体は、市場に投入されているデバイスがそもそも少ないために、特性を表すモデルがないのである。そのため、次世代パワー半導体を解析するためのモデルを作ることが課題となっている。

 キーサイトの回路設計用パワーデバイスアナライザである「B1506A」は、実際の想定用途と同じ動作条件でデバイス特性を評価するもので、得られた特性をシミュレーション用モデルとして活用することができる。絶縁破壊電圧やオン抵抗などのIVパラメータに加え、トランジスタの入力容量(Ciss)、出力容量(Coss)、帰還容量(Crss)、リーク電流、ゲート電荷など、必要なものをほぼ全て測定することができる。次世代パワー半導体のシミュレーションには、こうした計測器でいかに正しい特性を取得し、回路シミュレータに入れることができるかが肝になる。

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パワーデバイスアナライザ「B1506A」では、シミュレーションに必要な特性を、1回の測定でほぼ全て測定することができる(クリックで拡大) 出典:キーサイト

計測器メーカーにとっても重要な流れ

 パワーエレクトロニクス分野でシミュレータを使うという動きがより活発になるならば、シミュレータを提供するメーカー側もそのニーズに対応する必要がある。キーサイトによれば、これまで主にシミュレータが使われたきた高周波向けとは評価項目が大きく異なるので、シミュレータの作り込み自体を変える必要がある他、高速かつ高精度な時間軸解析機能を追加することも欠かせなくなってくるという。

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基板のレイアウトや部品の実装位置によってノイズの量は大きく変わる(クリックで拡大) 出典:キーサイト

 高周波だけでなく、パワーエレクトロニクス分野でもシミュレータを使い、ノイズを実際に見ながら基板設計・回路設計を変えていくという手法が主流となっていくとみられている。キーサイトは「SiC、GaNを使ったチップ設計においては、シミュレータは欠かせない存在になるだろう」と強調した。

 なお、キーサイトは2015年10月16日に、「次世代パワーエレクトロニクス設計・検証セミナー」を名古屋市にて開催する予定である。

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