NANDフラッシュとSSDの市場動向:福田昭のストレージ通信(16) フラッシュメモリの現在(1)(2/2 ページ)
本シリーズでは、毎年8月に米国で開催される「フラッシュメモリサミット(FMS:Flash Memory Summit)」から、フラッシュメモリの最新動向に関する講演内容をお届けする。まずはNAND型フラッシュメモリの価格と、SSDの現状について見てみよう。
SSDの出荷台数は2019年には4億台強に急増
続いて、「(2)SSD」に関する現状報告である。エンタープライズ市場とクライアント市場に分けて報告した。始めはエンタープライズ向けである。
エンタープライズ分野のストレージでSSDが導入される割合はまだ50%ほどであり、市場拡大の余地は十分に残されている。競合製品であるHDDのベンダーは、SSDの数量拡大を実感している。実際、エンタープライズ向けHDDの市場は縮小しており、HDD全体の市場ですら、今後は大きな伸びは期待できない。
エンタープライズ向けSSDで出荷数量の急激な伸びが始まったのは、ほんの2年〜3年ほど前からだ。PCIeインタフェースSSDとSASインタフェースSSDの合計出荷数量(世界市場)は、2012年までは100万台にすら達していなかった。それが2013年には200万台、2014年には300万台と急速な伸びを見せた。2017年には600万台、2019年には800万台に達するとHandy氏は予測する。
クライアント分野のストレージでは、PC向けと非PC向けで様相が異なる。Windows PCではいまだに、SSDは標準搭載ストレージの地位を獲得していない。UltrabookはSSDベースのPCとして登場したが、クライアントSSDの売り上げ数量を押し上げる要因としては強くない。Windows以外では、AppleのPCがSSDベース製品であり、この分野は一定の成功を収めている。PC市場全体としては、SSDの追加によるグレードアップが売り上げの主流といえよう。また非PC分野では、SSDの良さが認められており、販売は好調であるとする。
クライアント向けとエンタープライズ向けを合計した全体では、SSDの出荷数量(世界市場)は2013年に約5000万台だった。それが2016年には3倍の約1億5000万台に拡大し、2019年には4億台強に達すると予測する。
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