スマートツールでネジのトルクを管理、NIが展示:“エッジコンピューティング”の一例
日本ナショナルインスツルメンツ(日本NI)は「CEATEC JAPAN 2015」で、スマートツールを使って、ネジの締め付けトルクを自動制御することをイメージしたデモを行った。「どのネジが、どれくらいのトルクでいつ締められたのか」という情報がクラウドにアップされるが、同社はこれを“エッジコンピューティング”の一例だという。
日本ナショナルインスツルメンツ(日本NI)は、「CEATEC JAPAN 2015」(2015年10月7〜10日、幕張メッセ)において、システム開発ソフトウェア「LabVIEW」を核とした同社の開発プラットフォームを用いて開発された事例をいくつか展示した。
そのうちの1つが、スマートツールである。CEATECでは、「スマートグラスを使ってネジの締め付けトルクを管理する」という想定でデモを行った。
スマートグラスに搭載されているカメラでネジを画像認識して、その結果から必要なトルクを算出し、スマートツール(電動工具)を自動的に制御する。同時に、クラウドには「各ネジがどれくらいの締め付けトルクで、いつ締められたのか」という情報がアップされる。これによってネジの締め付けの品質管理を行うことができるという仕組みをイメージしたもの。
IoTに必要な“エッジコンピューティング”
同社によると、このデモは、日本NIが推進する「エッジコンピューティング」の一例でもあるという。製品を産業向けIoT(IIoT)に展開することに注力している同社は、発生する膨大な量のデータ(いわゆるビッグデータ)の全てが必要なわけではないと考えている。重要なのは“本当に必要なデータ”のみを取り出すことだ。そのために、センサーに近い位置(エッジ)で、ビッグデータを分析に適したデータにまず変換し、必要なデータのみをクラウドに上げる。これが、日本NIがいう“エッジコンピューティング”の考え方だ。
なお、Airbus(エアバス)は、National Instrumentsの開発プラットフォームを用いて、航空機の製造工程で使うスマートツールの開発プロジェクトを進めている。
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