SSDのフォームファクタ:福田昭のストレージ通信(17) フラッシュメモリの現在(2)(2/2 ページ)
SSDのフォームファクタは、HDDと大きく異なる。特に注目を集めている小型のフォームファクタ「m.2」など、SSD独自のフォームファクタを紹介していこう。
PCIeの採用でSSDの性能を引き出す
SSDの特徴に、入出力速度(IOPS)の高さとデータ転送速度(スループット)の高さがある。IOPSとスループットが向上していったことで、既存のHDD用インタフェースであるSATAとSASは、SSDの性能を引き出せず、性能を制約するボトルネックとなっていった。
そこで高速のSSD製品ではインタフェースにPCIeを採用するようになった。PCIeインタフェースは極めて高速で、SSDの性能をフルに引き出せる。クライアントPCで搭載するPCIeスロットの数が増加したことも、PCIeタイプのSSDへの注目を促すこととなった。
特に注目を集めているのは、小型のフォームファクタ「m.2」を採用したPCIeインタフェースのSSDである。mSATA SSDの後継として開発されたもので、mSATAよりも小さく、しかも高速に動作するSSDを実現した。
一方で、PCIeインタフェースの2.5インチSSDという不思議なフォームファクタが出現した。PCやサーバなどのPCIeスロットに拡張カードとして装着するPCIe SSDで、十分ではないかと思われる。Handy氏は、PCIeインタフェースの2.5インチSSDは短命に終わると予想する。
PCIeインタフェースのSSD全体を通していえるのは、PCIeインタフェースチップとSSDコントローラチップを統合したワンチップ化が、コストを下げるだろうということだ。また搭載するNANDフラッシュメモリも、より低いコストのタイプへと移行する。1個のメモリセルに1ビットを格納するSLC品がエンタープライズ向け、1個のメモリセルに2ビットを格納するMLC品がクライアント向けというのがこれまでの使い分けだった。今後は、MLC品がエンタープライズ向け、1個のメモリセルに3ビットを格納するTLC品がクライアント向け、という使い分けに変わる。この移行により、記憶容量当たりの単価が下がる。
(次回に続く)
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