ヘテロ構成で性能高めた組み込み機器用SoC、TI:マルチメディアとリアルタイム処理の機能を統合(2/2 ページ)
日本テキサス・インスツルメンツ(日本TI)は、高度なリアルタイム処理とマルチメディア処理の機能を1チップに集積した組み込みシステム向けSoC「Sitara」で最上位ファミリとなる「AM57x」製品を発表した。産業用ロボットやマシンビジョン、医療用画像処理などの用途に向ける。
開発効率を高めるエコシステム
TIのカタログ・プロセッサ部門のマーケティングディレクタを務めるArnon Friedmann氏は、「AM57x製品ファミリは組み込みシステム向けで最強のSoC製品である。演算性能は組み込みシステム向けのARM Cortex-A9クアッドコアプロセッサ製品に比べて40%高く、標準的なARM Cortex-A9デュアルコアプロセッサ製品に比べると280%高い」と話す。
さらに、「AM5728は演算性能が1万〜2万DMIPSとなる。現状では64ビット版のARM Cortex-A53コアを搭載した他のプロセッサ製品と比べても、AM5728の演算性能が50%高い。今後必要となれば64ビット版CPUコアを用意することもできる」と語った。AM57x製品ファミリの消費電力は使用状況、周囲温度によって異なるが、「標準的には2〜10W程度」(Friedmann氏)と試算している。
AM57x製品ファミリは既にサンプル出荷を始めており、同時にソフトウェア開発環境「Processor SDK」の提供も開始した。メインライン・ロングタームステーブル(LTS)Linuxカーネル4.1やTI-RTOS、Linaroツールチェーン、Yocto Project互換のファイルシステム、Khronos OpenCLなどをサポートしている。この開発環境を用いて、AM57x製品ファミリ以外のSitara製品やDSP製品向けも含めて、スケーラブルなソフトウェア開発を効率よく行うことができるという。
この他、エコシステムのパートナーから提供される、「Windows Embedded Compact 2013」や「Android 5.0」、主要なサードパーティーのRTOS、あるいはプリビルトのハードウェアモジュールなどを活用することで、開発期間を短縮することが可能となる。
なお、AM5728を搭載したシングルボードコンピュータ「BeagleBoard-X15」が、2015年第4四半期(10〜12月)に出荷される予定だ。さらにTIは、BeagleBoard-X15をベースとした評価モジュール「TMDXEVM5728」も用意した。ボードコンピュータの他、カメラボードやLCDボードなどが搭載されている。TI製の無線モジュール製品「WiLink 8」を接続するためのコネクタも備えており、「Wi-Fi」や「Bluetooth」機能を用いたシステムの評価を容易に行うことができる。
参考価格は、AM5728を搭載したBeagleBoard-X15が199米ドル、TMDXEVM5728は599米ドルとなっている。
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