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歩行者に優しい横断歩道、スマホのWi-Fi利用でルネサス DevCon 2015(1/3 ページ)

ルネサス エレクトロニクスが米国で開催したプライベートイベント「DevCon 2015」では、車載製品からアナログ・パワー製品、「Synergyプラットフォーム」まで、多数の製品デモが行われた。車載向けでは、車車間・路車間通信(V2X)向けの最新SoC「R-Car W2R」を使い、Wi-FiとIEEE 802.11pの通信を組み合わせて、“歩行者に優しい”横断歩道を提案するデモを見せていた。

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 ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)が2015年10月12〜15日に米国カリフォルニア州オレンジカウンティで開催したプライベートイベント「Renesas DevCon 2015(以下、DevCon 2015)」では、車車間・路車間通信(V2X)向けの5.9GHz帯対応車載無線通信用SoC「R-Car W2R」や、車載カメラネットワーク向けSoC「R-Car T2」などを含む、多数の製品のデモが披露された。

photophoto 「DevCon 2015」の展示会場。多くの来場者でにぎわっていた。青や紫の照明を使っていて、一般的な展示会場とはちょっと違う雰囲気だった。会場の中央にはバーが併設されていたので、ビールを飲みながらデモの説明をする・説明を聞くといった光景があちこちで見られて面白かった(※筆者は、飲みたいのをぐっとこらえて取材を続けました。念のため)(クリックで拡大)

“V2P”を提案、歩行者に優しい横断歩道の実現へ

 R-Car W2Rは、2015年9月29日に発表されたばかりの新製品だ。一般的に“V2X”といえば、車車間通信(Vehicle-to-Vehicle)あるいは路車間通信(Vehicle-to-Infrastructure)を指すが、ルネサスがデモで提案したのは“V2P”である。Vehicle-to-Pedestrian、つまり自動車と歩行者の間の通信である。正確に言うなら、自動車と歩行者が信号機を介して通信する。

 歩行者が横断歩道を渡ろうとすると、歩行者が持っているスマートフォンからWi-Fiで信号機に信号が送られる。それを受けた信号機は、横断歩道に近づいてくる自動車に対して、IEEE 802.11pに準拠した5.9GHz帯の無線信号を送る。これによって、横断しようとしている歩行者がいることを自動車に通知する仕組みだ。ルネサスの説明員によると、信号機から最大約700m離れた自動車にも信号を送信できるという。

photophotophoto 左=“V2P”を提案したデモの様子。写真左下に歩行者がいて、横断歩道を渡ろうとすると、信号機を介して自動車にそれが通知される / 中央=自動車には、このように通知される / 右=「R-Car W2R」を搭載した評価ボード(クリックで拡大)

 車載情報機器向けのSoC「R-Car H2」のデモも多数展示された。

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自動車に搭載したカメラやレーダーで周辺情報を認識するデモ。この画像では前方のクルマを認識している。歩行者や標識、道路のセンターラインなどを検知・認識する。「R-Car H2」は、カメラやレーダーで取得したデータを処理するセンサーフュージョンの役割を果たしている(クリックで拡大)
自動車の模型に搭載した4台のカメラで周辺に認識し、それらの画像をリアルタイムに合成して3次元画像を作り出している。R-Car H2を使えばこうした処理を1チップで行える。その上、R-Car H2を搭載したボードは約10cm四方と小型だ。

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