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自動運転技術、未完のまま市場に出る恐れも課題山積にもかかわらず(1/3 ページ)

自動運転車への注目度が日に日に高まっている。生命に直接関わる技術なだけに課題は山積だが、市場拡大が急ピッチで進んでいることから、自動運転技術が成熟する前に、自動運転車が市場に投入されてしまうのではないか、と懸念する声もある。

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 「人間(ドライバー、乗客、歩行者など)と自動運転車の間で唯一確実なのは、HMI(Human Machine Interface)技術が完全に成熟する前に、多くの自動運転関連技術が市場に出てしまうことだろう」――。

 これは、「ITS World Congress 2015」(10月5〜9日、フランス・ボルドー)で行われた、“人的要因(Human Factor)”の専門家たちによるパネルディスカッションでは、このような見解が出された。

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ボルドーを走る自動運転車

 パネルディスカッションに参加した専門家の1人であるVirginia Tech Transportation InstituteのRichard Hanowski氏は、自動運転車市場が急ピッチで拡大していることに驚いているという。

 Hanowski氏は「自動運転車のように、急速に発展する技術はこれまで目にしたことがない」と述べ、自動運転車の試験が、(一般道路の環境とは懸け離れている)保護された模擬環境下で行われている点について「非現実的である」と警告した。

 別のパネリストであるオランダ・デルフト工科大学のRiender Happee氏も、「一般の自動車や自転車、歩行者が混ざった、実際の複雑な道路環境下において試験運転を行うべきだ」と同意した。

 German Aerospace Centerの研究者であるJohann Kelsch氏は、「あらゆるシステムを急いで市場に投入すれば、事故につながる可能性がある」という率直な見解を示した。

 聴衆の1人はKelsch氏の見解に賛同し、自動運転車を世界中の道路で走らせるには、何年もかけて、技術の修正やデバッギングが不可欠だと主張している。さらに、不完全な自動運転車が「模擬環境にしろ実環境にしろ、適切に試験されずに市場に投入される恐れがある」と続けた。

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