ダイエットの目的は…… 結局、ダイエット!?:世界を「数字」で回してみよう(21) ダイエット(4/7 ページ)
今回は、基本的な疑問「人はなぜダイエットをするのか」に立ち戻り、ある仮説を立ててみました。しかし、それを数値的に検証すればするほど、出口のない無限ループにはまり込み、まるで禅問答と向き合っている状態に陥ってしまったのです。
「閉じたループ」こそが、ダイエットの本質か
―― もしかしたら、この「閉じたループ」こそが、ダイエットの本質なのではないか?
私は、頭の中をリセットして、考え直すことにしました。
そして、上記の美容ダイエットの考え方を、拡張し一般化して、ダイエットというものに対する一つの仮説を打ち立ててみました。
何のためにダイエットをしているのか?
→ ダイエットのためにダイエットをしている
この仮説が真か偽かは、今後も検証を続けていく必要はありますが、この仮説が真であれば、私がこれまでに頭を抱えてきた事項を、キレイに説明することができます。
→ダイエットを続けるためには、ダイエットに失敗しなければならないため(しかも、できるだけ短期間で)
【疑問2】なぜ出版業界は、ダイエットの根拠を何一つ示さない「新しいダイエット本」を2カ月単位で出版し続けているのか。そして、なぜその本を購入する消費者が存在するのか
(第1回)
→ダイエットを続けるためには、ダイエットを再開させなければならないため(しかも、新しい名前のダイエット法で)
【疑問3】なぜ、出産リスクを高めてまで、ダイエットを行うのか
(第4回)
→「ダイエットのためのダイエット」は、種の保存戦略すら干渉できない範囲で、回り続けるため
【疑問4】なぜ、男女の間でダイエットの着眼点(スタイルと体重)が、これほどまでに違い、そしてそれについて不都合が生じないのか
(第5回)
→「ダイエットのためのダイエット」は、個人がそれぞれの理由で創り出した価値観で、回り続けるため
もしこの仮説が真であるなら、巷(ちまた)にあふれるダイエット本が、その「手法」にしか及んでいないのは当然です。ダイエット本の目的が「ダイエット自身」なのですから*)。
本来、ダイエットに、(「美容」のむこう側にある)「モテたい」というターゲットが存在しているのであれば、「1kgの減量当り、デート回数2.4回/月の上昇」とか、「ウエスト3cm減少当たり、失恋期間2カ月の短縮」とかの定量的な目標が掲げられなければならないはずですが ―― そんなダイエット本は存在しません。
*)ただし、この仮説は、健康ダイエットの中でも、特に生命にかかわる範囲(過剰肥満、拒食症)は除きます。これらの疾患に関しては、医学的根拠に基づく明確なダイエットの定量目標が存在します
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