半導体業界で加速する再編、大規模な人員削減も:今後はアナログ分野に要注目(1/2 ページ)
活発なM&Aが続いている半導体業界では、それに伴う人員削減が懸念事項となっている。とりわけ、大規模な解雇が発生するのではないかと予想されているのが、Avago TechnologiesによるBroadcomの買収だ。
再編の動きは、まだ続く
半導体業界の統合はまだ終わりそうにない。今後、雇用と半導体価格への影響が明らかになってくると予想される。
専門家は、今後もメモリ、ストレージ、ネットワークプロセッサ、アナログなどの幅広い分野での統合が起こると予想する。だが、具体的にどの企業が統合されるかを予測するのは、大口の買収契約が締結されようとしている時点で人員削減や半導体価格への影響を予想するのと同じくらいに難しいことだ。
論理的根拠がなければ、はっきりしたことは言えない。
米国の市場調査会社であるInternational Business Strategies(IBS)のCEO(最高経営責任者)を務めるHandel Jones氏は、「新たな半導体の開発費は今後、さらに上昇すると予想されるため、製品当たりの利益を増やす必要がある。統合すれば価格決定力が上がるため、利益は増える。しかし、顧客にとっては選択肢が少なくなることから、デメリットとなる」と述べる。
米国の投資会社であるMorgan Stanleyで投資銀行部門のマネージングディレクタを務めるMark Edelstone氏は1年前に統合について予想し、そのうちのいくつかの買収契約に関わった。
Edelstone氏は、「半導体業界は有意義な転換が必要であり、劇的な変化が望まれる。2015年に入ってから1億米ドルを上回る18件の取引が実施され、取引総額は1100億米ドルに達している。これは、過去10年間の取引総額を上回るほどの、驚くべき額だ」と指摘する*)。
*)関連記事:半導体業界のM&A、2015年のペースは例年の6倍
人員削減は最小限か
Edelstone氏は、「この変化は業界にとって健全なことであり、人員削減は最小限に抑えられる」と確信しているという。
同氏は、「人員削減は、比較的少ない割合に抑えられるだろう」としながらも、「成熟した業界では、技術部門から他部門への移動が必要になる。人員削減を行わざるを得ない場合もあるだろう」とも指摘している。だが同氏は、「技術業界は、システムや新たなアプリケーション、ソフトウェアなど、全体的に活気に満ちている」と述べている。
「統合はどんな業界でも行われることで、企業が強化されるのは健全なことだ。株主の利益につながることであり、誰もが好調な企業で働きたいと望んでいる」と述べている。
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