UMCが28nmプロセス強化を見送り、稼働率も低下:競合に比べてやや失速気味
TSMCやSamsung Electronicsに比べ、UMCがやや失速している。需要の低下により、28nmプロセスの強化を見送るという。開発中の14nm FinFETの量産開始時期も、遅れる可能性がある。
半導体業界が在庫調整の状況から回復しつつある中、UMC(United Microelectronics Corporation)は、2016年まで続くとみられる需要の落ち込みにより、28nmプロセスの強化を見送る予定だ。
稼働率は80%台に落ち込む
同社は2015年10月28日(台湾時間)に2015年第3四半期(7〜9月期)の決算を発表。売上高は353億ニュー台湾ドル(約1306億円)で、そのうち最先端プロセスでの製造が占める割合は10%だった。前四半期の11%から減少している。
一方のTSMCは、5年近く独り勝ちを続ける28nmプロセス市場において、シェアを守り抜くと明言した。その後、UMCの28nmプロセスのシェア拡大を狙う取り組みは失速している。UMCは、2015年第3四半期における稼働率が、前四半期の94%から89%に落ちたことを明らかにした。
UMCのCEOであるPo Wen Yen氏は、アナリストとのカンファレンスコールの中で、「2016年第2四半期までに、28nmプロセス市場で15〜20%のシェアを得ることを目指している」と述べた。これは3カ月前と同じ目標になるが、「今後の四半期での回復にはもっと時間が必要になる」と述べた。
Yen氏は、需要は今後数カ月で妥当な水準にまで戻るという見方を示した。需要の鈍化と在庫の削減は、2015年第4四半期も続くとみられる。半導体ファウンドリビジネスの最大のけん引力であるスマートフォンの販売台数も現在伸び悩んでいる。
UMCによると、稼働率が80%台に落ちたことから、同社の2015年第4四半期のウエハー出荷数は、前四半期比で約5%低下する見込みだという。とはいえ、UMCは2015年の設備投資予算として18億米ドルを維持している。反対に、TSMCは設備投資額を、当初の105億米ドル〜110億米ドルから、80億米ドルまで削減した。
14nm FinFETの量産開始が遅れる可能性も?
UMCは14nmプロセスが売上高に大きく貢献し始める時期を2017年後半にずらした。このことから、同社が14nmプロセスの適用を遅らせる可能性もある。
2015年7月、UMCは「2017年前半に14nm FinFETプロセスでの量産を開始することを目指す」と発表していた。同社はSamsung ElectronicsやTSMCといった競合先に追い付くべく、20nmプロセスを飛ばして14nm FinFETに狙いを定めてきた。
Samsungは14nm FinFETを適用したチップの製造を既に開始していて、TSMCも10nmおよび7nmプロセスの開発は順調だと述べている。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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